これは中学一年の時の話で、今思い出しても赤面する恥ずかしい話ですが面白いので書いておきます。
僕の家は貧乏でもありませんが金持ちでもありませんでした。
子供の時は自分の置かれている環境が当たり前であり、 また他の家の生活に触れることもめったになかったから自分の家がどれくらいなのかということを考えたりしたことも
ありませんでした。
ただ後から振り返ると(それをちゃんと考えたのは高校を出てからかなあ?)僕の家はまあふつうなのでしょう。
ただ、家は公団の団地でボロくて狭く、僕は20才で家を出るまで自分の部屋を持ったことはありませんでした。
しかし家賃にお金をかけないぶん、生活はけっこう贅沢ができたようでステレオなどもいいやつだったし、 レコードや本もたくさん有りました。
また食生活も豊かだったらしく、家で食べる魚や肉もけっこういいものだったみたいです。
しかしそんなこともそれを当たり前のように生活している日々では気づきもしませんでした。
中一の時に僕はある友達の家に遊びに行き、そこで夕食をごちそうになりました。
手巻き寿司でした。
そこで食べたマグロがとてもおいしくて、僕は感動しました。
そしてそのことを素直に言い、 何ていうマグロなのかきいてみました。
すると友達のおばさんは「赤身」と言いました。
僕の家でも手巻き寿司はよくやりましたが、家で食べるマグロは「中トロ」という種類で僕はおいしいと思ったことは ありませんでした。
僕にとって手巻き寿司とはあくまでイクラであり、マグロはそれまでのつなぎの一品にすぎませんでした。
しかしこの家のマグロはとてもおいしかったので僕は「いいなあ、僕の家でも赤身のマグロが食べたいなあ、 僕の家はいつも中トロだからおいしくないんだ」といいました。
その時の食卓がどんな空気だったのか今では覚えていないけど、 あとで世の中が分かってきてそのことを思い出すたびに「何てことをいったのだ!」と自分を殴りたくなります。
このあいだ 「笑う犬の生活」でウッチャンの貧乏な家に娘のオセロの中島が金持ちの彼氏を紹介するコントで同じようなことがネタに されていて僕はまた心を痛め、外を走りたくなった。
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