猩々蝿




注意しなければ確認できないくせに気がつくと視界に飛び込む猩々蝿がうざいので私 は読書に集中できなくなり本を閉じて猩々蝿探しに集中した。

部屋の角のベッドの上 に見張り台を設け灯台のように眼を光らせゆっくりと首を横にふった。

定期的な首の動きに疲れてきた頃に猩々蝿は羽根の音であざ笑いながら私に向かって こう言った。

オマエ、バカジャナカロウカ?バンブツノレイチョウキドリガ、オレミタイナコツブイッピキニ、ヤッキニナッテヤガル。

フダンハ、ヤレ、アイティー、ダ ノ、ゼイキンダノ、ホザイテルクセニ、ヒトリデハ、ナニモデキナイ、トブコトモデ キナイ。

メニハイルモノミンナホシガルヨクボウノドレイメ。

そう言って何か更に言おうとしていたが、猩々蝿は私の瞳に突っ込んで来て、私の瞬きに潰されて死んだ。

猩々蝿が私に何を言いたかったのか私は結局分 からないまま、ただ自分の罪深さだけを漠然と感じ、涙を一滴こぼすとその涙の中で 死んだ猩々蝿がゆらゆら揺れていた。


 

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