高校時代




高校は都立田無高校、このころから僕は選択肢の中で楽な方を選ぶようになった。

中 学を卒業し、人生初の大きな選択を迫られた時、進路指導の先生に聞かれたことがあ る。

君はどのタイプか?自分より高いレベルな中で、それに追いこうとすることで伸 びるタイプか?自分と同レベルの中で頑張る方か、自分より下のレベルのトップを守 ろうとして努力するタイプか?と。

僕は最後の選択肢をとった。

それでそんな中から 自転車で小金井公園を通って行ける田無高校を選んだ。

この通学路は最高だった。

春は満開の桜、前の日の花見客が残した酒のにおいの中をほろ酔い気分で学校に通う。

秋は落ち葉の中を、雪の降った冬の日は一面真っ白で本当にきれいだった。

 高校時代はもはや少年時代ではない。

徐々に自分が出来てきたと思う。

人生という 視点で色んなものを考えるようになった。

学校をさぼって公園で太宰治を読んでいた こともよくあった。

スケボーにハマリ出し、スケボーで学校に通い、廊下でもやって 先生に怒られたりもした。

口もだんだんたつように先生に説教されても、逆に口で返 し、さらに説教が長くなったこともあった。

また、この頃は団体競技に飽きて、テニ ス部に入った。

そのことも後で書く。

この時に出来た親友は高橋和博、通称カズだ が、彼はもうこの世にはいない。

 このころは、一般的な人の成長段階としても、中学の時に芽生えてきた個性がだん だん強くあらわれ、人生の道もわかれはじめる頃なのではないかと思う。

僕の場合は 、たとえば、休みになると出る旅も、放浪色を強め、計画性がなくなり、野宿をする ようになった。

また、趣味においても、たとえば、音楽では、それまでチャートに入 るような音楽から、イギリスのマイナーといわれる音楽を聞き始めた。

 そうだ、それで、さっき書いたことの続きだが、僕は自分よりレベルの低い学校に 入ったつもりだった。

そして、なるほど最初の一年は勉強をしないでも成績はクラス の上位だったが、二年目からはだんだん下がり、英語と体育以外は不得意科目という ことになった。

中学の進路指導の先生が与えてくれた三つの選択肢は、どれもあては まらなかった。

(「生まれたついでに生きる」に収録)

 

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