井の頭公園でよく見かける風景のひとつが、おじさんが若い女の人とコミュニケーションを はかろうとしている光景だ。
若い子は古着を売っている。
おじさんには縁がない。
しかしおじさんは若い子と話したい。
だから女の子が持っているカバンとかに話題を見つけて会話を切り出す。
「その柿色のカバンはおしゃれだね」なんて、 オレンジのことを柿色なんて言って、隣で売っている僕には受けた。
まさかおやじ、僕にこの文章を書かせたいためにやっているんじゃなかろうな? そのうちに、どこからか小さな子供がやってきて、 その女の子の店の前にしゃがんだ。
その女の子は小さな子供と話をはじめた。
「忍者ハットリ君知ってる?」とか、僕もたまにするけど、 とにかく自分が普通に知っているものをその小さな子供が知っているのか聞いて年齢のギャップをあらためて感じるのはおもしろいのだ。
その子は忍者ハットリ君は知らなかった。
「じゃあパーマンは?」子供はそれも知らなかった。
そこにさっきのおやじがまた会話に参加しようと思って 「じゃあ、ミツバチハッチは?」だって。
知るわきゃねーだろ!!と言って隣からおやじのはげ頭に 「目を閉じればすべてが見える」を五冊くらい重ねてドシーンとやりたかったが、 それもこの文章を書かせるために言ったのならすごい。
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