BOOKSルーエのおすすめ本 画像
 ドロップ
著者
品川ヒロシ/著
出版社
リトルモア
定価
税込価格 1,470円
第一刷発行
2006/08
e−honでご注文
ISBN 4-89815-183-3

 ★ 会員登録はこちら(1500円以上で宅配送料無料)⇒
 
お笑いコンビ・品川庄司の品川による青春小説  不良になると決めたから、不良でいよう。
 

本の要約

漫画「湘南爆走族」と「ビーバップハイスクール」にあこがれて、「不良」になることを決めた信濃川ヒロシが狛江北中へと転校してきた。そこで待ち受けていたのは、ヒロシがまさに漫画で読んでいた不良生活だった。



オススメな本 内容抜粋

第1章  ミニミニシアターの出会い

がらがらとキャスターの転がる音があとをついてきた。
生ぬるい春風が全身を包むように吹きすぎていく。
里中ゆいかが引いているのは、空色の小型トランクである。
日曜日の下北沢は祭りのような混雑だった。道端には自分で書いた色紙を売る若い男が座り、
新型携帯のキャソペーソガールはピンクのマイクロミニで声をからしている。猫の額のような
駅前広場には、人待ち顔の男女が携帯の液晶画面をにらんで立っていた。みなよく似たセンス
の古着ファッションだ。ゆいかはマクドナルドのガラスに映る自分の姿を見つめた。、白いシャ
ツブラウスに紺のタイトスカートのスーツ。足元は黒のパンプスで、就職活動にでもでかける
ような格好だった。
(考えてみたら就職するようなものかもしれない)
ゆいかはプリントアウトを手に、久しぶりの下北沢を歩きだした。狭い路地の両側には、夜
店のようにちいさなショップがならんでいる。なぜか一番多いのは靴屋だった。それも高価な
革靴は一足もなく、赤札のついたスニーカーが店先の歩道にあふれている。つぎに多いのは居
酒屋と古着屋だろうか。共通しているのは、がちゃがちゃと勢いがよくて、どれも値段が安い
ところである。
南口を離れて、茶沢通りにむかった。多いのは店だけではなかった。電柱や建物の壁面は、
演劇のボスタ…とグラフィティで埋まっている。よく見ると店先にだされたワゴンには、商品
といっしょに小劇団のフライヤーが雑多におかれていた。ここは芝居の街なのだ。
あづま通りを折れて消防署にむかう一方通行の路地の右手に、その建物が見つかった。一階
はワゴン車が一台しかとまっていない駐車場、二階と三階の窓は黒い布で目隠しされている。
下駄をはいた四角い箱のような鉄筋コンクリートの安手なビルである。濁った春の空に張りだ
した看板には、スタジオDNとあった。ゆいかは横についた鉄製の階段を、両手にトランクを
さげてあがった。防火扉が開いたままの入口から、音楽が漏れてくる。オリビア・ニュート
ソ・ジョソの「フィジカル」。何十年まえのヒット曲だろうか。

(本文P. 8〜9より引用)


▼この本の感想はこちらへどうぞ。 <BLANKでご覧になれます



e−honでご注文
BOOKSルーエ TOPへリンク
 ★ 会員登録はこちら(1500円以上で宅配送料無料)⇒


このページの画像、引用は出版社、または著者のご了解を得ています.

当サイトが引用している著作物に対する著作権は、その製(創)作者・出版社に帰属します。
無断でコピー、転写、リンク等、一切をお断りします。

Copyright (C) 2001 books ruhe. All rights reserved.