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 白夜行
著者
東野圭吾/著
出版社
集英社
定価
税込価格 1,995円
第一刷発行
1999/08
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ISBN4-08-774400-0


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偽りの昼に太陽はない。さすらう魂の大叙事詩。
 
白夜行 東野圭吾/著 

本の要約

悪の吹きだまりを生きてきた男。理知的な顔だちの裏に、もう一つの顔を持つ女。偽りの昼を生きた二人の人生を、“質屋殺し”を追う老刑事の執念に絡めて描く。ミステリーの枠を広げた一大叙事詩。(集英社提供)

祝 直木賞受賞! TBS 連続ドラマ原作 (2006年)
 主演:山田孝之・綾瀬はるか・渡部篤郎・八千草薫・武田鉄也



オススメな本 内容抜粋

第一章

近鉄布施駅を出て、線路脇を西に向かって歩きだした。
十月だというのにひどく蒸し暑い。そのくせ地面は乾い
ていて、トラックが勢いよく通り過ぎると、その拍子に
砂埃が目に入りそうになった。顔をしかめ目元をこすっ
た。
笹垣潤三の足取りは、決して軽いとはいえなかった。
本来ならば今日は非番のはずだった。久しぶりに、のん
びり読書でもしようと思っていた。今日のために、松本
清張の新作を読まないでいたのだ。
右側に公園が見えてきた。三角ベースの野球なら、同
時に二つの試合ができそうな広さだ。ジャングルジム、
ブランコ、滑り台といった定番の遊戯設備もある。この
あたりの公園の中では一番大きい。真澄公園というのが
正式名称である。
その公園の向こうに七階建てのビルが建っている。一
見したところでは、何の変哲もない建物だ。だがその中
が殆どがらんどうの状態であることを笹垣は知っている。
府警本部に配属される前まで、彼はこの付近を管轄する
西布施警察署にいた。
ビルの前には早くも野次馬が群がっていた。彼等に囲
まれるように、パトカーが数台止まっているのが見えた。
笹垣は真っ直ぐビルには向かわず、公園の手前の道を
右に曲がった。角から五軒目に、いか焼き、と書いた看
板を出した店がある。間口が一問ほどの小さな店だ。通
りに面するようにいか焼きの台が置かれ、その向こうで
五十歳前後と思われる太った女が新聞を読んでいた。店
の奥では駄菓子を売っているようだが、子供の姿はない。
「おばちゃん、一枚焼いて」笹垣は声をかけた。
中年女はあわてて新聞を閉じた。「ああ、はいはい」
女は立ち上がり、椅子に新聞を置いた。笹垣はピース
をくわえ、マッチで火をつけてから、その新聞を眺めた。
『厚生省、市場の魚介類水銀濃度検査の結果を発表』と
いう見出しが見えた。横に小さく、『魚を大量に食べて
も許容量下回る』とある。


(本文P. 3より引用)




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