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 タリズマン 秘められた知識の系譜 上
著者
グラハム・ハンコック/著 ロバート・ボーヴァル/著 大地舜/訳
出版社
竹書房
定価
税込価格 1995円
第一刷発行
2005/06
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ISBN 4-8124-2193-4
 
真のキリスト教の歴史?  ・誰もが知っている歴史の影に、誰も知らない事実があった
 
タリズマン 秘められた知識の系譜 上

本の要約
十字軍・ルネサンス・フランス革命・アメリカ独立・ナポレオン・・・誰もが知っている歴史の影に、誰も知らない事実があった!『神々の指紋』のグラハム・ハンコックが古代エジプトに源流を発する、大いなる異端の連鎖を追う!



オススメな本 内容抜粋

矢われた世界

フランス革命の原動力として知られている潮流や勢力にはいろいろあるが、パ ワフルな宗教的・霊的エネルギーも働いていた。
このエネルギーが目に見えるか たちで現れたのが、強引な非キリスト教化運動だ。
この運動で、有名なパリのノ ートルダムをはじめとする大聖堂が、「至高存在」の神殿に転用されている。
フ ランス全土で、古代エジプトなどの異教の図像がキリスト教の図像、特に十字架 に取って代わり、女神イシスをはじめとする古代エジプトの神々が礼拝された。
したがって、一七九四年に国民公会が「フランス国民は、至高存在の存在と魂の 不滅を受け入れる」と宣言したのは、キリスト教の神やキリスト教思想の来世の ことぐはない。
この展開は奇妙で驚くべきことだが、キリスト教に真っ向から反対する宗教が現在のフランス地方 に根を下ろすのは、一八世紀後半が初めてではない。
この宗教もまた、古代エジプトに影響されてお り、魂の運命に大きな関心を寄せていた。
フランス革命より六〇〇年以上前の一二世紀にも、まさに そういった宗教が、プロヴァンス地方やラングドック地方にどこからともなく姿を現している。
それ も、その時点で既に人口のかなりの部分の心と精神をしっかりと捕らえていた。
この宗教は、隣接す るスペイン東部や北イタリアの一部にも多くの信者を持ち、 遠くベルギーやフランス北部、ドイツにも、信者の共同体 が散在した。
ローマカトリック教会の本拠地のすぐそばで、急速かつ 成功裏にカトリックに取って代わった宗教の名は……キリ スト教だ。
少なくとも、この宗教の信者たちは「善きキリスト教 徒」を自称したが、カトリック教会のほうは、存在に気づ いた瞬間から、彼らを異端だと決めつけた。
一二世紀から 一四世紀の同時代人は、彼らをしばしば「マニ教徒」と呼 んだ(古代の二元論的宗教であるマニ教は、これより何百 年も前にヨーロッパから一掃されたはずだった)。
他にも さまざまな呼び名があり、特に「アルビジョワ派」(ラン グドック地方の主要都市アルビにちなむ)と「カタリ派」 (ギリシャ語で「純粋」を意味するカタロスから)という 名はよく使われた(1)。
カタリ派(本書はこの名称で統一する)は、イエス・キ リストを崇めるという点では、カトリック教徒と少しも違わなかった。
だから自らを「善きキリスト 教徒」と呼んだのだが、キリストが占める位置は劇的に異なった。
カトリックでは、キリストは「肉 となった言葉」であり、「われわれの間で暮らした」とされる(2)。
カタリ派はこれを全く認めず、 キリストを純粋な霊の存在とした。
「善き神」から発散された投影あるいは幻影であるとして崇拝し た。
神の「子」キリストが肉体を持った人間として生まれ、「われわれの間で暮らした」という考え は、絶対的に否定した。
さらに、キリストはわれわれの罪をあがなうために十字架にかけられたとい うカトリックの教えも、カタリ派は断固拒絶した。
もともと肉体を持たない者をどうすれば十字架に かけられるのか、というわけだ。
だから、キリスト教の重要な霊的シンボルである十字架も、カタリ 派は尊ぶどころか意味あるものとすら認めなかった。
カタリ派にとって十字架は忌まわしい拷問道具 であり、ローマ教会は十字架という偶像を拝ませることで大勢の人々を誤った道に引き込んだ、と考 えたのだ。
カタリ派は、キリスト教の重要なシンボルや教理・教義をこうして逆手に取るのが得意で、それが 中世のカトリック教会を激怒させ、しばしば対立を招いた。
問題の根底にあったのは、主流キリスト教徒の神が全能かつ善良な唯一神であるのに対し、カタリ 派は善神と悪神が同時に存在するという「二元論」を信じていたことだ。
善神と悪神にはそれぞれ勢 力範囲があり、相手の領域では無力に近い。
善神の領域はまったく霊的で、触れることもできず、非 物質的だが光に満ちている。
人間の魂が生まれたのはここだ。
善神が創ったのだ。
一方、悪神の領域 は地上そのものであり、その上の物質世界や肉体生命のすべてだ。
こちらは暗黒と邪悪に満ちた、苦 痛と刑罰の地獄のような場所だ。
カタリ派の世界観では、物質世界を創造し支配している悪神が、人 間の肉体(魂は別)を「泥と水」からこしらえた。
そして、ローマカトリック教会が神と崇めている のはこの悪神だと、カタリ派は主張したのだ。
つまり教皇は善神のしもべではなく、地上における悪魔の代理人ということになる。
さらに、カト リック教会の目的は、死後に私たちの魂を光に満ちた天の霊界に送り届けることではないという。
そ うではなく、われわれを騙して何度も人間として生まれ変わらせ、繰り返し物質世界という地獄へ戻 らせることだという。
私たちの救いの道は、一生欲望を断って、カタリ派信仰の最高の奥義を取得し、 啓示によって授けられる知識である特別なグノーシスの最高点に達することにあるという。
これは革命的な教えだったが、一二世紀のヨーロッパにおいては極めて危険な思想でもあった。


(本文P. 14〜17より引用)



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