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 アサシン
著者
新堂冬樹/著
出版社
角川書店
定価
税込価格 1470円
第一刷発行
2004/08
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ISBN 4-04-873532-2
 
右手には拳銃を、左手には愛の花束を・・・冷たい心を持った暗殺者が守り抜くのは“永遠の愛”。暗殺者と女子高生の“恋”の逃避行を描いた、「レオン」より甘く、「ボニ―&クライド」より切ない・・・新堂冬樹のトゥルー・ロマンス!
 

本の要約

冷たき心を持って育てられた・花城涼。涼は育ての親からの命令で、暗殺者・“アサシン”となった。
父親の愛情のもと不自由なく育ってきた女子高生・リオ。しかし父親が嵌められ、借金を苦に死んでしまう。
二人のターゲットは、同じ男だった。ナイフで襲い掛かったリオを連れて、涼は現場から逃げ出した。
組織は二人を追い始めた。心を開かない涼と、無邪気な優しさを持ったリオ。二人は協力しあいながら次第に……。
暗殺者と女子高生の“恋”の逃避行。新堂冬樹のトゥルーロマンス。



オススメな本 内容抜粋

プロローグ

エールフランス航空、シャルル・ド・ゴール空港行きの便の搭乗ゲートが開いた。
リオは、腕時計に視線を落とす。十一時三十五分ちょうど。待ち合わせの時間を、もう三十分も過ぎている。
「まったく、もう、なにやってんのよ」
リオは頬を膨らませ、祈るような視線を腕時計から第1ターミナルの出発・ビーの人込みに移した。
ーああ、約束する。
彼の小指の感触が、リオの小指に残っている。
あのとき、彼の笑顔を初めてみた。いつも、哀しく寂しげな瞳をしていた彼が、
子供のよう
に無邪気に微笑んだ。
彼との非現実的な出会い。彼と過ごした非現実的な時間。でも、彼は幻じゃない。
リオは覚えている。
彼の遠い眼差しを。彼の優しい声を。
いつか、ファレノプシスを涼にプレゼントしたときに、花言葉の意味を教えてあげる。
彼は、純白の蝶に秘められた想いを知りたがった。
リオは、両腕に抱き締めたファレノプシスの花束をみつめた。
「涼のやつ。もう許さないぞ。花言葉の意味、教えてやんないから」
花束を睨みつけ、リオは言った。
もう、拳銃を使ったりしない?
リオの問いかけに、彼は小さく顎を引いた。
「信じていいよねP涼は、必ず約束を守るよね?」
花束に、リオは問いかける。
金で殺しを請け負う。それが俺の仕事だ。
とてもつらそうな瞳……あのときの、彼の瞳を忘れることができなかった。
誕生日、星座、血液型、好きな食ベ物・…正直、彼のことをなにも知らない。
でも、知っている。彼の優しさを・…少なくとも、自分だけは知っている。
永遠に、あなたを愛します。
ファレノプシスの花言葉……母が父に贈った白い蝶に秘められた想い。
愛しては、いけない男性なのかもしれない。愛しては、くれない男性なのかもしれないそれでもいい。世界中のすべての人を敵に回しても、愛してもらえなくても、彼を愛せれば、それでよかった。
リオは爪先立ちになり、ファレノプシスから上げた泣ぎ出しそうな顔で出発ロビーの人波を見渡した。
彼が無事に空港に到着するのなら、ほかにはなにも望みません。
リオは祈った。
ルパン三世のテーマ曲がリズミカルに流れる。
リオはポシェットから携帯電話を取り出した。
液晶ディスプレイに浮かぶ見覚えのある十一桁の数字。
「涼!」
リオは弾む声を上げ、開始ボタンを押した。

 

 

(本文P. 3〜5より引用)


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