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 手紙の行方 チリ
著者
山口智子/著・写真
出版社
ロッキング・オン
定価
税込価格 2100円
第一刷発行
2003/05
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ISBN 4-86052-017-3
 
TVドラマから遠ざかって早7年、山口智子処女作発表!この7年、彼女はどこで何を思っていたのか?文、写真、イラスト、すべて本人による初の書き下ろしエッセイ。誰も知らなかった、山口智子の素顔がここに!
 

本の要約

「私は、ほんとうに何も知らない。」初めて綴ったチリ縦断記。山口智子処女作発表!テレビ・ドラマから遠ざかって早7年。復帰待望論が渦巻く中、「世界の果て」で何を思う?南北4000kmを超える南米チリを縦断しながら、したため続けた文、写真、イラスト、そのすべてが本人による初の書き下ろし&撮り下ろし。見知らぬ国で、ひとり最果ての地を目指す、ここにはあなたの知らなかった山口智子の素顔がある。

[目次]
北の章(カラマ;アタカマ砂漠;カスパーナ);中央の章(ヴァルパライソ;サンティアゴ);南の章(テムコ;オソルノ;プエルト・モン);最南端の章(プンタ・アレーナス;プエルト・ナターレス;パイネ国立公園;プエルト・ウィリアムス)


オススメな本 内容抜粋

 

南米へ飛ぶ。
何かの使命を負うかのごとく、追っ手の手を逃れるがごとく。
ちょっと前までうごめいていた日常から、突拍子もない場所へいざ向かう現実。
いっきに均衡を失い出した世界に、まるで人ごとみたいに酔っている。
もうどれくらいたったのだろう。
乗換え、搭乗アナウンス、映画にお飲みもの、フィッシュ・オア・ミート。
それらを何度となく繰り返し、からだはすっかり活動停止を強いられた 仮死状態。ぐったりとシートに身を放り出して、眠るでもなく目覚めるでも ない。流感の熱にやられたような重いからだと裏腹に、意識はぷかぷかと、 暗い機内を浮遊している。
観ているはずの映画の展開も脳には屈かないみたいだ。眼球をするりと抜 けて後部座席へと、たらたらと流れてゆく。
一獲千金の大ばくちを仕掛けた男が流れ着く、夢のパラダイス。
腐った権 力に立ち向かう同志が、美しく悲しく命を散らす地。私の映画史の中の南米 は、パッションと陶酔が似合うところだった。
密林の奥地、原始の自然に圧倒された者が骨を埋めるのも、歴史の波に翻弄され、熱い恋が燃え上がるのも、その舞台はやっぱり、南米だった。
ドラマチックな展開が当たり前、ちょっとイカサマな危うさの虜になる謎の大陸。
国家機密の任務を負い、いざ潜入を試みる女主人公。
すっかりそんな役になりきってみては、たっぷりとあり過ぎる時間を埋めていく。そういえば。
私は、ほんとうに南米へ向かっているのだ。
まさに起ころうとしていることが、息をきらしながらやっと私に追いついたみたいに、架空と現実のピントは、急に合ったり、ぶれたりしながら、危なっかしくぐらついている。
そうなのだ、私が向かっているのは、ブラジルでもアルゼンチンでもない。
南米、チリなのだ。

(本文 はじまり より引用)


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