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 イラク便り 復興人道支援221日の全記録
著者
奥克彦/著
出版社
産経新聞ニュースサービス
定価
本体価格 1238円+税
第一刷発行
2004/01
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ISBN 4-594-04333-X
 
03年11月イラクで二人の日本外交官が銃撃を受け、殺害された。その一人、奥克彦参 事官(当時)が、赴任中に綴った「イラク便り」(外務省HP掲載)を、70数点の写真 とともに編纂。中東の大地に散った外交官の思いが行間からにじみ出る。
 

本の要約

本書「−−事件の背景と経緯−−」より
奥克彦・在英国大使館大使(当時、参事官[45])と在イラク大使館の井ノ上正盛・一等書記官(当時、三等書記官[30])は、2003年11月29日、イラク中部のティクリート近郊で銃撃を受け、殺害された。両氏はバグダッド陥落直後の同年4月下旬からイラクに入り、日本政府と復興人道支援局(ORHA、後に連合暫定施政当局[CPA]に改編)との間の調整役として中心的役割を担い、足かけ8ヵ月にわたり、日本の対イラク復興支援の要の存在として働いている最中だった。事件当日も、両氏はティクリートで開かれる北部イラク支援会議に出席する予定だった。現在、事件の事実関係が調査されているが、二人の乗った4輪駆動車の左側面には30発前後の弾痕が残っており、左側を並走する車から自動小銃による乱射を受けたとみられる。CPAから連絡を受けた外務省は、30日未明から緊急対策本部を設置し情報収集に乗り出した。当初、駐留米軍が「二人は水や食料を買うため、沿道の売店に車を止めて撃たれた」と発表したため(その後、米側はそのような事実はなかったと日本側に訂正を連絡してきた)情報が混乱したが、福田康夫官房長官が「テロの可能性が強い」と発表、その後、政府は、強盗目的などではないとして、テロとの見方を強めている。奥大使はイラク入りして以来、外務省のホームページに「イラク便り」を書き続けていた。イラク情勢を生々しく伝えるその「便り」は、両氏の死後、両氏からの日本人への遺言として、大きな反響を呼んだ。特に11月13日付の「便り」では、テロに立ち向かう決意が記されていた。南部ナーシリーヤで起きたイタリア国家警察本部爆弾テロの現場調査の報告。その一文は「犠牲になった尊い命から私たちが汲み取るべきは、テロとの闘いに屈しないと言う強い決意ではないでしょうか」と結ばれている。(産経新聞社のまとめによる)



オススメな本 内容抜粋

奥家・井ノ上家・外務省合同葬での小泉純一郎首相の弔辞

奥大使、井ノ上書記官の非業の死を悼み衷心より弔意を捧げます。
イラクの復興支援のため懸命の努力をしてこられた極めて優秀な二人の外交官を失い、私は深い悲しみと残虐非道な犯行への強い憤りを感じます。
御家族の胸中を察するに、言うべき言葉もありません。
心からお悔やみ申し上げます。
奥克彦さんのイラク便りを拝見し、改めて奥氏のイラク復興にかける強い使命感と情熱に心うたれます。
あなたはイラク暫定行政当局やアメリカ、イギリスの関係者との信頼関係を築き、イラクの復興支援に欠かすことのできない役割を担ってきました。
余人をもって代え難い活躍をされてきました。
惜しみてもあまりあります。
井ノ上正盛さん、あなたは堪能なアラビア語を活かし、多くのイラク人との友情を大切に、イラク国民の視線から地道な活動を続けてこられました。
井ノ上さんの小学校5年生の時に書いた作文を拝見すると、飢えに苦しむアフリカの人々に僕たちも何かをしていかなくてはならないと、小学生とは思えない立派な考えと他者への思いやりを持つ、人間性豊かな人物だったとよくわかります。
その高い志を持ち続け成人されて、外交官として活躍され、これからという時を思うと、誠に痛惜に耐えません。
お二人とも御家族の誇りであると同時に、日本国、日本国民の誇りでもあります。
私たちはあなた方の熱い思いとその功績を決して忘れません。
これからも日本政府は、あなた方の遺志を受け継ぎ、国際社会と協力してイラクの復興に取り組んでまいります。
奥克彦さんと井ノ上正盛さんの御冥福を心よりお祈り申し上げます。
安らかにお眠り下さい。

平成15年12月6日

内閣総理大臣 小泉 純一郎

 

奥大使遺稿「イラク便り」出版に寄せての川口順子外務大臣メッセージ

私たちの同僚である奥克彦・在英国大使館大使(当時、参事官)、井ノ上正盛・在イラク大使館一等書記官(当時、三等書記官)とジョルジース・スライマーン・ズーラ運転手の三人は、11月29日、イラクのティクリート南方で、何者かの襲撃により亡くなられました。
厳しい環境の中で、日夜粉骨砕身、イラク復興のため懸命の努力を続けていた仲間を失った怒りと悲しみに胸が張り裂ける思いです。
ご遺族の皆様のご心痛とご無念をお察し申し上げ、謹んでお悔やみ申し上げます。
3人のご冥福をお祈り申し上げますとともに、そのご功績に心からの敬意と感謝を捧げます。
私たちにとって、今回の事件は痛恨の極みとしか言いようがありません。
しかし、これによって、「テロに屈せずイラクの復興支援に積極的に取り組む」との我が国の基本方針が揺らぐことはありません。
今、私たちがなすべきことは、亡くなられた方々の御意志をしっかりと胸に刻み、受け継いでいくことです。
それこそが最大の供養であり、私たちの責務です。
奥大使は、本年4月より亡くなられる二日前までイラク復興の現場での思いを是非日本の皆様に知っていただきたいと、激務の合間をぬって、「イラク便り」を71回にわたり書きつづり、外務省ホームページにて皆様に読んでいただいてまいりました。
「イラク便り」には、奥大使の熱い思いが溢れています。本書を一人でも多くの方にお読みいただくことにより、奥大使の気持ちが皆様に届くことを願ってやみません。
また、数多くの日本人が世界のさまざまな場所で厳しい環境に耐えながら使命感に燃えて、日本のために日夜奮闘していることにも思いをいたしていただければ幸いです。
なお、本書の印税は御家族のご意向により、奥大使、井ノ上書記官の御意志を継ぎ、イラク復興支援事業に寄付される予定であることを申し添えます。

平成15年12月26日

外務大臣 川口 順子

 

(本文P. 6〜9より引用)


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