表題作「幻日」は、著者のライフワークとも言える浮世絵研究にまつわる秘話。まだ1冊の本も出せないでいる頃、浮世絵の研究に関しては自信を持っており、それによって身を立てたいと考えていた。生活の糧となるような職業に就くこともなくコツコツと研究を進め、ついにその成果を出版という大きな夢が実現したが、実は親の強力なバックアップによるものだと知り、幻日の中でしか生きられない自分自身の無力さに愕然とする。 その他、少年時代に目撃した衝撃的場面の意味を追う「ざくろ事件」、江戸川乱歩賞受賞の陰にあった妻の献身と犠牲を綴った「ぬるま湯」など、作家・高橋克彦の原点ともいえる珠玉の七作。
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