広末涼子×松田龍平主演、堤幸彦監督。話題の映画「恋愛寫眞」。カメラマンを志す一組の若い男女・静流と誠人がN.Y.を舞台に、繰り広げる切なくてミステリアスな青春恋愛物語。その劇中映像でコラージュされる静流と誠人が撮影した写真を多数収録したビジュアルで魅せるメイキング本を刊行! ※6月全国松竹・東急系にてロードショー
今まで「バカヤロー!」という短編でデビューして以来、15本の映画を撮ってきた。 そして「恋愛写真」が16本めである。 ご存じのように私は専業の映画監督ではない。 テレビのドラマも、音楽ビデオ、舞台、CMなどなんでも作る。 それぞれに仕事として魅力がありジャンルの差なく楽しい。 だから勢いにまかせてたくさんの作品を作った。 自分でもタイトルを忘れている作品もあるぐらいだ。 映画も16本も撮ったなんてちょっと信じられない。 デビューした時は私のような素人が映画を撮り続けるなんて思ってもいなかったからだ。 映画監督にはそれなりの崇高なモチベーションと使命感が必要だと考えていたし……。 しかし作品を量産する私には明確な癖があった。 「恋愛モノは撮れない」という癖だ。 それは最も映画的ドラマ的題材だからこそ避けて通って来たのだろうか?自分がまともな恋愛をあまり経験してこなかったからか……とにかく「恋愛」というテーマは私には鬼門だったのだ。 たぶん生涯、私はそのテーマとうまくいくことはないだろうと思っていた。 しかし40代半ばも過ぎて、やっとその鬼門に真正面から向き合うことになる。 脚本をはじめて読んだとき誠人と静流のラブストーリーはぜんぜん照れくさくなかった。 そこには一人の男の成長の過程があり、“写真”という記憶や驚きや愛という感情を印画する装置があった。 いつものように私の思いこみで多種多様の撮影機材を使ったのにも拘わらず、その差異は恋愛というメインストリームによって消滅し、映画「恋愛写真」というひとつの実体になった。 恋愛モノを撮らないという私の“片翼飛行”が多くの人々の力を得てちゃんとフライトした。 ありがたいことだ。 この場を借りて、原さん、田沢さんをはじめとするプロデューサーのみなさん。 丸毛さん、市山さんをはじめとする演出・制作チーム。 唐沢君を筆頭とするテクニカルスタッフ。 短い時間で素晴らしい仕事をした美術の佐々木さんチーム、最後まで大変だった編集伊藤君チーム。 作品への愛を感じる宣伝スタッフ。 天才的な音楽家見岳さん、そして武内さん。志田さんと音楽、音スタッフ。 厳しい条件で戦ったCG原田さんとそのスタッフ。 さらに極寒の気候に負けず素晴らしい演技をしてくれた広末さん、松田君はじめとする日米の役者陣。 私のNYの父とも言える大坪さんの指揮下、楽しい仕事をしてくれたNYスタッフ。 数万点にわたる写真を2年以上も我慢強く撮り続けてくれた齋藤清貴さん。 映画の格調を数倍にしていただいた山下達郎さん。 特に、最大最高の信頼関係で作品をともにクリエイティブすることができる植田プロデューサーに最大限の感謝をしたい。 ほんとうにありがとう!やっと「まっとうな監督」に一歩近づいた気がします!まだまだがんばります! そしてこの本と映画をご覧になる皆さんにこの作品を通じてメッセージ出来ることを幸せに思います。 ありがとうございました。
堤 幸彦
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