ぴんぽんぱんふたり話
著者
瀬戸内寂聴/著 三輪明宏/著
出版社
集英社
定価
本体価格 1500円+税
第一刷発行
2003/04
ISBN 4-08-775295-X
 
瀬戸内寂聴 三輪明宏の決定版対談集!
 


片や作家にして尼僧、片や歌手にして霊能力の持ち主。奇しき縁の二人がこの世とあの世の不思議を自在に語る対談。三島由紀夫をはじめ、親しかった芸術家の素顔など、興味深いエピソードが満載。



今日、天台寺で話す巡リ合わせ


ようやく天台寺に来てくださいましたね。

参りました、ようやく。
他の山やお寺と霊気の手触りが全然違いますね。

ちょうど今年で十五年になりますが、私が晋山して来たときはそれはひどい荒れ具合で、壁は落ちているし、畳は腐って歩くと沈むし、廊下を歩くとギーコギーコ鳴るし(笑)。

お化け屋敷(笑)。

晋山式に大勢の人が東京からバスを連ねてここまで来てくれたんですよ。みんな、「あんなひどいところへ行って、どうするんだろう」と、たいそう可哀想がってくれました。
それは、多分お招きになったんでしょう。七、 八年前に新幹線で隣り合わせて以来、私と瀬戸内さん の距離があっという間に近くなりましたよね。

私が三輪さんと最初にお会いしたのは、もう 三十年ほど前のことですものね。
私はあなたの大ファ ンで、取材でどこかの劇場の楽屋におうかがいした。 でも、それきり、お会いする機会がなかった。

ええ。瀬戸内さんは瀬戸内さんで活躍なさっていて、私は私でいろいろやっていた。普通、こういう 仕事だとどこかでお会いするはずなのに、三十年近い 間に一度もお会いできなかった。それが、偶然、新幹 線の中で隣り合わせて。実はそれも、全部、約束され ていたことなんですよ。
あのとき、私はいつものように新幹線の中でくたびれ果てて、眠りこけていたんです。ふっと人の気配がして目を覚ましたら、目の前に真っ白な木綿のドレスを着た美しい人が立っていた。夢かな、観音様 かなと思って仰ぎ見たら、すっぴんの三輪さんだった。 覚えていらっしゃるかしら?「さっきから見てた んだけれど、あなた、よくお寝みでしたから、ご遠慮 してたの」と、三輪さん、おっしゃったんですよ。
ええ、よく覚えています。その前から、あなた が私にどうしても連絡をとりたがってらっしゃると、 横尾忠則さんに聞いてましたから、「なんかご用事で したか?」とうかがったのよね。 そしたら、どうしても聞きたいことがあったのよ、 っておっしゃって。

(本文P.7〜8 より引用)


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