命に会いたい Baby meets mama
著者
穴井夕子/著
出版社
実業之日本社
定価
本体価格 1400円+税
第一刷発行
2003/02
ISBN 4-408-32169-9
タレント・穴井夕子さんが自ら体験した二年八カ月におよぶ不妊治療と人工授精、妊娠、出産のすべてを、本書で告白。赤ちゃんを産むために絶対に捨てなかった勇気と決意。

 
「東京パフォーマンス・ドール」出身のタレント・穴井夕子さんが自らの不妊症の克服と妊娠・出産までの体験を告白した本書。穴井夕子さんは、プロゴルファーの横田真一さんとの結婚を決意したとき、何気なく受けた病院の検査で、不妊症が発覚してしまいました。それからの約二年間は、生活のすべて不妊治療に費やす日々が続きます。しかし、懸命な不妊治療にもかかわらず、その効果はゼロ。まったく妊娠することができなかったのです。もう妊娠をあきらめようか……、そう思ったとき担当医から人工授精を提案されました。二年八カ月におよぶ不妊治療と人工授精、妊娠、出産。タレント・穴井夕子さんが自ら体験したすべてを、本書で告白します。

プロローグ
私たちの赤ちゃんに、一日でも早<会いたい!

今は、女性の生き方も千差万別です。「一番大切にしたいこと」も、本当に人それぞれという感じがしますよね。
私のまわりを見ても、さまざまです。結婚などせずに、自分のぺースでゆったりと生きている人がいます。
また、たとえ結婚しても、すぐに子どもは産まず、ダンナ様との二人の時間を大切にしている人もいます。
仕事を成功させたいと、いつも努力している人、いつ会っても恋をしている人。
本当にたくさんの生き方があるなと、いつも感心してしまいます。
私も中学校を卒業後、歌手になりたいという思いだけで、大分県から
上京しました。
十六歳で芸能界に入り、アイドル・ライブグループ「東京パフォーマンス・ドール」を経て、高校卒業後はソロで活動してきました。
毎日が忙しく、すべてのことに夢中で、何もかもがあっという間にすぎていったような日々でした。
そのころの私は、お仕事が一番大切で、そのときそのときに自分なりの目標を立て、それに向かって、頑張ってきたと思っています。
ただ、年齢を重ね、家族や友人たちの人生を見ていくうちに、「一番大切にしたいこと」が、少しずつ変化していきました。
私の場合は単純明快。
横田真一(プロゴルファー)と出会い、結婚したことで、「私と横やん(主人)の赤ちゃんに会いたい」と、ただそれだけを思うようになりました。
母親になりたいという願望は小さいころから持っていましたが、それほど現実感はありませんでした。
でも、結婚と同時に何の違和感もなく、そんな気持ちになれたのです。
自分の赤ちゃんを産むということは、ダンナ様の協力があれば、ごく普通の成り行きです。
私の母親もそうでしたし。
だから私の場合も、普通に妊娠して出産、育児という「幸せの物語」の主人公になれると、本当に何の疑いもなく信じていました。
それが不可能なことがあるなどとは、夢にも思わずに……。
結婚を決めてすぐに、病院で無事に出産できるかという検査をしてもらったのも、何か心配があったというわけではなく、一応念のためという気持ちからでした。
しかし検査後、大学病院の先生から伝えられた結果に、私の頭は真っ白になってしまったのです。
「妊娠を妨げる病気が三つあります。今のままで妊娠できたら、それは
もう奇跡というものでしょう」
心臓がドキドキし出し、胸が息苦しくなりました。
妊娠できない?
私が?どうして?聞きたいことはたくさんあるのに、言葉がなかなか口から出てきません。
「不妊」という言葉が繰り返し繰り返し、頭の中で響き合います。
これまで自分とは無縁だと思っていた言葉なのに、あっという間に頭にこびりついて、離れなくなってしまったのです。
しかし私は、どうしても赤ちゃんがほしかった。
気持ちを、捨てるわけにはいきません。
赤ちゃんに会うための不妊治療がどんなに辛いものでも、私は挑戦し、希望をかなえてみせる。
そんな強い気持ちも、体の底からわきあがってきました。
それから約二年間、不妊治療との闘いが続きました。

(本文P.7、8より引用)

 
 


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