いばりんぼうの研究と対策
著者
斎藤茂太/著
出版社
WAVE出版
定価
本体価格 1300円+税
第一刷発行
2003/02
ISBN 4-87290-147-9
どうして、いばるのか! いばるひとのヒミツと、付き合いの方のコツを教えます。

増殖中のいばりんぼうから、自分の身を守ろう!

いばる人はかわいそうな人

いばる人はきっと、「人に弱みを見せてはいけない」「人よりいつも優位でいたい」「劣等感を決して悟られたくない」「誰にも負けたくない」という思いに二十四時間、三百六十五日支配されているのでしょう。
これでは常に緊張を強いられるはずです。心休まるときがなくて本当に気の毒です。

はじめに

ある場所で、五〜六人の女性が集まって話をしています。
そのなかのAさんがこんな話題を持ち出しました。
「私ね、じつはパリに旅行に出かけていて、昨日帰ってきたばかりなの。
日本は暖冬と言われているけれど、向こうはとっても寒かったわ」。
それを聞いてBさんが、「あら、いいわねえ。パリはよかった?」
と言い、続けてCさんも、
「ステキねえ。私も行ってみたいわ」
と、ニコニコしながら答えました。そこに「いばりんぼう」のDさんが登場です。
「パリなら、もう百回も行ってるわ。だから隅から隅まで知ってるのよ。ホテルの角にあったあのタバコ屋さん、今はどうなってるかしら」。
「いばりんぼう」というのは、かくも場の雰囲気を考えず、自分中心に振る舞う人が多いですね。
自分が一枚上手だとひけらかしたがり、「世界は自分のためにある」とばかりの言動で相手を不愉快にします。
みなさんも、Dさんのような「いばりんぼう」に心当たりがあるのではないでしょ
うか?なかには「いばりんぼう」に困らされている人もいることでしょう。
「いばりんぼう」というのは、考えてみれば不思議な存在です。
なぜにこうも一人よがりになれるのか、なぜにこうも自慢したがるのか、なぜにこうも勝手に振る舞えるのか。
一歩引いた立場で眺めてみれば、じつに興味のつきない存在ではあります。
私も、何を隠そう「いばりんぼう」の直接被害者なのですが、そうした興味もあって、「いばりんぼう」というものをこの際徹底的に検証してみることにしました。
この本は自身の体験とアンケートで集めた実例をもとに、「いばりんぼう」の解説と対策をまとめたものです。
彼らとの上手なお付き合いのために役立てていただければ幸いです。

斎藤茂太

(本書 はじめに より引用)

 

 
 


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