異界談義
著者

京極夏彦 他

出版社
角川書店
定価
本体価格 1400円+税
第一刷発行
2002/07/19
ISBN4-04-883757-5
日本が世界に誇る妖怪・異界文化について語りあう。

作家京極夏彦氏と異界研究の第一人者小松和彦氏が、日本が世界に誇る妖怪・異界文化について語りあう。さらに死者やあの世、風水など、さまざまな視点から異界について考察する。異界を知るための入門書。

はじめに

異界という言葉は、一般には、私たちの生活領域の向こう側、私たちが所属していると認識している時間や空間の外側の世界のことをいいます。
たとえば、この世で悪事を働いたものが死後に堕ちて種々の責め苦を受けるという地獄や、十万億土の彼方にあって一切の苦しみがなく安らかな楽しみが存在するという極楽は、広く知られている異界といってよいでしょう。
天狗、鬼、河童などさまざまに創造された妖怪たちの多くも異界の住人です。
妖怪は、異様な姿と不思議な力をもつ超自然的な存在とみなされ、畏怖の対象として、時には遊びの対象として、実に多様な性格が創り出されてきました。
また、日常の中に隠された〈裏の世界〉、とりわけ未来に関わる事柄を知ろうとする占いも、異界とふかく結びついた行為として発達してきました。
人びとは見えない世界をさまざまに想像することで、日々の不安を和らげ、生きていくための拠り所を得ようとしてきました。
異界への想像力が生みだした文化は、長い歴史の中で豊かな裾野の広がりを形成しています。
本書では、「あの世」「妖怪」「占い」などをキーワードとして、異界の抱える課題と魅力を多面的な角度から取り上げてみました。
現代社会において、異界のもつ意味を考えていただく機会になれば幸いです。

常光徹

 
 

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