豊かに老いを生きる
著者

日野原重明

出版社
春秋社
定価
本体価格 1333円+税
第一刷発行
1995/10/25
ISBN4-393-36427-9
愛すること 耐えること 創めること

■目次
1 中年から始まる第二の人生;2 人生の午後をどうデザインするか;3 老人のいのちの豊かさ;4 老いを育てる;5 子どもに死を教える;6 病院で尊厳死はできるか;7 医師と患者の関係;8 日本人のQOLはどこからきてどこへ行くのか;9 生きることの質


年輪を重ねることで初めて見えてくる風景もあります。人生の午後を実り豊かに過ごすために90歳を超える現役医師からのメッセージ。

まえがき

私は今日までにほうぼうから原稿の執筆や講演を数多く頼まれてきたが、過去数年間の私のスケジュール表をみると、老いと死を扱った著述や講演が圧倒的に多いのに気づく。
日本は諸外国に比べると、老人問題と死について考えることでは明らかに立ち遅れていたが、商齢化の進みぐあいと歩をそろえてか、過去十年間にはその遅れをかなりとり戻した観がある。
そうした状況の中で、国民や医学界の二ーズを受けて、老いと死とを私の最重要なテーマに据え取り組んできた。
私は、自分の加齢と、そして私が世話してきた多くの高齢の患者が老いを重ね、亡くなられる方が増していくのをみて、私自身もこれを白分の問題としてますます深刻に考えるようになってきた。
私は白分の中に老樹のような年輪が増えていくのを意識する中で、そしてまた医師としての経験年数を加える中で、老いが自分をどう育て、どう老いに向かって白らを成熟させるべきか、そして最後には死をどう受け入れるべきかを、周りにおられたさまざまの方々の老いと死を通して教えられてきたように思う。
その自分を整理する意味で、講演の中から、この本の題とした内容に触れるいくつかのものを選んでまとめてみた。
春秋社からはこの本を含め八冊の本を出版していただいたが、いずれも私がその時々に考え取り組んできた「よりよく生きる」ことをテーマとして扱ったものである。
本書も私が選んだというより、読者を代表して私の講演録のすべてに目を通された佐藤玖子さんが選択されて出来上がったというのが真実のストーリーである。
その佐藤玖子さんと、私の執筆や講演の資料をいつもタイミングよく収集して下さる秘書の岸野めぐみさん、そしてそのお二人と組んでこの本の編集に協力された春秋杜の近藤文子さんに心から感謝の意を表したい。

著者

(本書 まえがきより 引用)

 

 
 

 

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