新ゴーマニズム宣11 テロリアンナイト
著者

小林よしのり

出版社
小学館
定価
本体価格 1200円+税
第一刷発行
2002/07/10
ISBN4-09-389011-0
 SAPIO大反響連載の単行本化第11弾!

オウム真理教の暗殺計画をけちらし、薬害エイズ問題では前代未聞の大臣の謝罪を引き出した。怒り炸裂の思想マンガ『ゴー宣』がついに新章突入。断筆宣言の筒井康隆氏との差別をめぐる特別対談も併載。

 SAPIO大反響連載の単行本化第11弾!
9・11テロ以降、日本に巻き起こった「テロvs戦争」「反米・親米」で“ポチ保守”を完膚なきまでに論破し、「現代の戦争」を総括。衝撃の「新しい歴史教科書をつくる会」脱会宣言、巻頭カラー「お伊勢さん参り」

あとがき

「失望」の、その先へ

わしの戦いには、常に「失望」が待ち受けている。
順当に爽快に勝つなどということはあり得ない。
8月15日の小泉首相の靖國参拝を強力に後押ししても、平成13年には、中国・轄国の顔色を窺って前倒し参拝され、今年(平成14年)は4月の例大祭直前の参拝によって、早々と問題の核心を嫌されてしまった。
「つくる会」の教科書採択を妨害する中・韓の内政干渉には、日本国内のほとんどのマスコミが同調し、左翼過激派の脅迫・放火テロを含めた暴力をも黙認される始末だった。
教育委員も、中・韓と日本のマスコミが共同で作り上げた全体主義的な世論に屈服し、政府も毅然と中・韓の圧力を嬢ね除ける素振りも見せず、ついに「つくる会」の教科書は、限りなく0%に近い採択率に終わってしまった。
さらに9・11同時多発テロ以降は、保守派言論人のアイデンティティーの脆弱さに衝撃を受ける展開となり、このわしはアメリ力を批判した廉で、ポチ・ホシュの大ボス、西尾幹二と石井英夫により、人格攻撃に晒される顧末となつた。
それは『戦争論』を発表したときに、左翼側から受けた批判・中傷の大合唱と、ほとんど相似形の、常軌を逸した醜悪な言葉のテロリズムに他ならなかった。
善悪を超えて「戦争」を思想的に論じれば、左翼はわしを「戦争賛美だ!」と攻撃し、善悪を超えて「テロ」を思想的に論じれば、ポチ・ホシュがわしを「テロ賛美だ!」と攻撃する。
笑える光景ではないか。
中国に隷属するか、アメリ力に隷属するか、それが日本の左翼方面と右翼方面の違いだったのである。
常に「失望」が、最後に待ち受けている。
オウム真理教の時も、薬害エイズ運動の時も、教科書運動でも、そして同時多発テロで露見した、アメリカに対する気構えの問題でも。
常に幕引きは「失望」のピエロのパントマイムだ。
白々とした虚脱感の中、苦々しく笑って、その場を離れるしかない。
それでも一縷の希望を次世代に繋ぐために、わしは自分のメディアを持つことを決意した。
わしが編集をやった『わしズム」(幻冬舎)創刊号は、発売3週間で、ほぼ完売が決定したが、この雑誌を、『新・ゴーマニズム宣言』と共に育てていくことが、日本の将来に重要な布石を打つものと信じている。
『わしズム』は、信頼の再構築のため、『新・ゴー宣』は、今後も先鋭的な闘争の場として機能するだろう。
「失望」から産まれる「希望」のしぷとさを、これから見せてやらねばならない。

平成14年5月小林よしのり

(本書 あとがきより引用)

 
 

このページの画像、引用は出版社、または著者のご了解を得ています.

当サイトが引用している著作物に対する著作権は、その製(創)作者・出版社に帰属します。
無断でコピー、転写、リンク等、一切をお断りします。

Copyright (C) 2001 books ruhe. All rights reserved.