イザベル毎日がしあわせ
著者
イザベル・ロサーダ
出版社
ソニー・マガジンズ
定価
本体価格 1400円+税
第一刷発行
2002/03/20
ISBN4−7897−1814−X
ハッピーへの最短距離


イザベルは友人のフィオナから「自己洞察セミナー」に参加するよう誘われるが、ニューエイジ系のうさん臭さを感じ取った彼女は頑なに断っていた。だが、フィオナの執拗な誘いに根負けし、ある日とうとう参加することに―こうしてイザベルのセラピー通いが幕を開けた。悟りの境地を手に入れるために、太極拳やタントラ・セックス、前世療法、神経言語プログラム、腸内洗滌など、手当たり次第にセラピーやワークショップに参加する毎日。はたしてイザベルは「しあわせ」を手にすることができるのか。

 

■目次
私が変わる時がきた;自己洞察セミナーで人生が変わる;太極拳で心と身体と魂を浄化させよう;修道院で静粛の日々を過ごす;星座でわかる女性性と男性性のバランス;服を脱ぎ捨て「女神」を目覚めさせる;タントラの教えでセックスをより楽しく;この私が関係依存症?;腸内洗滌でスーパーヘルシーになる;再生セラピーでトラウマを解消する;前世を探って今の「私」を知る;究極のマッサージで至福のひととき;怒りをぶちまけてストレス解消;「言葉」を操って思考をリセットしよう;天使や妖精や精霊と仲良くなろう;道はまだつづく

 

 


私の好奇心ときたら、本当に手に負えない。毎日毎日、ばかみたいにしあわせでいられる方法が知りたくて仕方がないのだから。
ほら、どんなに人生がつらくても、身体から明るい希望の光を発散させている人っているでしょう?
見てるだけでムカつくような連中。私もああなりたい。
表面的に明るいだけじゃダメ。
十分以上一緒にいたら、実はどっぷり欝なんじゃないかと勘繰りたくなるような人はダメ。
「満ち足りている」タイプ(別れた夫はとても「満ち足りた」人間だった)でもない。
絶望と充足のどちらかを選べといわれれば、私は何度だってまちがいなく絶望を選ぶ。
私が知りたいのは、心ゆくまで豊かに楽しく愚かしく人生を生きる方法。これを、私は探求したい一悟りの境地を。
今のところ、うまくいっているとはいえないけれど……。
私はパリでのアバンチュールの落とし子。
父はスペインの外交官だったらしいけれど、細かいところは私もほとんど知らない。
私としてはスペインの血から、エキゾティックでミステリアスなオーラを受け継いだと思いたい。
父はこんがり日焼けしやすい肌と生命を与えてくれた。
それは感謝している。
でも私の人生を映画化するとしたら、父の役どころはあまり大きくならないだろう。
母はバイリンガルの秘書だった。
妊娠し、父に結婚を断られると、これから生まれてくる子供がアメリカのパスポートをもらえるようにアメリカに渡り、生後六か月の私を抱いてイギリスに戻ってきた。
孫の存在を知らされていなかった母の母、つまり祖母はさぞかし面食らったことだろう。
母は父の姓を名乗った。
法的な権利は一切ないけれど、私も父の姓で通してきた。
なかなか興味深い人生でしょう?
とはいえ、この本は著者が子供時代をそのまま振り返るたぐいの物語じゃないので、短縮版で行こう。
私は祖母と暮らし、母は週末になると訪ねてきた。
おばあちゃんは伝統的に孫を甘やかす存在だけれど、私の祖母は伝統主義者の最たるものだった。
世界は私を軸に回っており、望めば何でも与えられると私に教え込んだのだ。
だから五歳で母に引き取られたときには、私は救いよう心なく甘やかされた駄々っ子になっていた。
誰かに「ダメ!」と言われたことは、一度もなかった。
人生のスタートとしては、完壁だった。
五歳ですでに騒ぎ癖のついていた私を、母は演劇学校に入れた。
いるでしょう?ぞっとするような子役って。
私もそのひとりだった。
テレビで満面の笑みを振りまき、ステージで歌ったり
踊ったりはできるけれど、足し算引き算はからきしダメな子供。
ティーンエイジャーになるころまでに、学校の生徒は九十五パーセントが女子になっていた。
残りの五パーセントは男子だったけれど、あの当時でさえ女の子にとってバレエに熱意を燃やす男の子など、デートの相手には願い下げだった。
課外活動ではガールスカウトに参加し、テントで野宿し、意識を高揚させる歌を歌った。
生物の授業で、一度きりだけれどペニスの図解も見ていた。
ただし、ペニスを所有している人間とはまともに話したこともなかった。

本文 P.9,10より引用

 

 

 

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