志村流 金・ビジネス・人生の成功哲学
著者
志村健
出版社
マガジンハウス
定価
本体価格 1300円+税
第一刷発行
2002/03/22
ISBN4−8387−1321−5
金・ビジネス・人生の成功哲学

30年近くにわたって、笑いの主役で活躍し続ける志村けん。彼の生き残り哲学とは? 人生、お金、ビジネス、処世術・・・、超「非常識」コント芸人の、超「常識」哲学のススメ。

 

●担当編集者から
本書は、志村けんが初めて本音で書き下ろした「仕事と人生の流儀本」です。生来の照れ屋で人との交わりが決して上手くない男が、どうしてここまで生き残ってこられたのか、ということを超まじめに語っています。たとえば、こんな内容のことが書かれています。
★ 一生を24時間に置き換えて見ると……
★ こんな時代だからこそ、常軌を3割増しにして攻める
★ 何事にも準備段階に全力投球する
★ パチンコで「見切りの術」を学ぼう
★ 二等賞が最後には一等賞となる(?!)
★ 給料の半分を貯金にまわすか、全額を自己投資するかのどちらか
非常識人間の極致と見られている芸人・志村けんが、実は芸能界でも有数な常識論者であって、「仕事というのは、結局のところ、常識を基にして攻める人間こそが成功する」、と本書では結ばれています。
こんな非常識の時代にあって、志村けんの流儀は読者に勇気と希望を与えてくれるものだと、確信しております。

はじめに

振り返ると、人生、もう半分以上来てしまった。けれど、好きな道一筋で、ここまで来られたのだから、けっこう幸せだったと思う。
そりゃ、人には言えない苦労もずいぶんした。
いまでは笑って話せることもあるけれど、吐きそうなくらいつらかったことや悲しかったこと、悔しかったこともたくさんあった。
でも、最後は自分しかいない、最後の頼りは自分だけ、という信念みたいなものがあったからこそ、なんとか頑張ってこられたのかもしれない。
つき合いで飲まなきゃいけないときは、夜遅くまで笑って飲んで、相手が酔いつぶれている間に、こっちは寝ないでお笑いの勉強に精を出していた。
睡眠不足でのハードな仕事の連続は、正直言ってきつか ったな。
でも、それは、人と同じことをしていたら、この業界で生き残ることは難しいのがわかっていたからだ。
自分しかできない演技、自分独自の芸というものを早く確立したい、そういう思いで頑張ってきたんだけど……ね。
住んでいる世界は違いこそすれ、人生や仕事において成功したいという、オレと同じ考えで、一生懸命に頑張っているサラリーマンの人たちも、いまの世の中、生き残りはかなり大変だと思う。
いまの時代、いろんなことが新しくなって、ついて行くのもひと苦労。
会社側から自己否定みたいな真似をされると、「オレっていったい何なの」って気持ちにもなるだろうし、ときには全部を放り投げて、「や〜めた」とケツをまくりたくもなるだろう。
そんな時、たまたま読んだ本が発想の転換のヒントになったり、何気なく聞いた曲とか友達のひと言に、思いがけず勇気づけられたりすることがあるものだ。
そんなもののひとつになればいいな、と思ってこの本を書いてみた。
だれもが、明日は今日よりもっといい生活をしたい、と考えているはずだ。
いま飲んでいる酒より高級な酒を、いま住んでるアパートよりもっといいマンションに、さらには一戸建ての家に。
車も買い替えたいし、できれば外車に……なんていうふうに。
そのためには、もっと稼がなければいけないし(出世なんかもね)、金を作る方法を考えなければならないだろう。
たしかに、金をいまより稼ぐためには、これまで以上の努力とアイデアが必要だし、さらには人生の時間を犠牲にしなければならない。
でも、意外と簡単に、毎日の習慣や行動、仕事やお金に対する考え方、とらえ方を少し変えただけで、成功に少しでも近、づけるかもしれないし、場合によっては、状況は同じでも満足感が違ってくるかもしれない。
モノは考えようで、どうやって稼ぐかを日夜追求して金持ちになった人たちがいる一方で、どうすれば金を使わずに済むか、出ていかなくできるか、といったケチ道を実践して、金持ちになった人もいる。
稼ぐことよりも、ケチることに喜びを見つけるというのも、逆転の発想でいいかもしれない。
もっとも、ケチだけで世界一の金持ちになったという話は、まだ聞いたことがないけれど、物事に正しい考え方はひとつ、というわけではなさそうだ。
どんなに時代が進もうが、後退しようが、自分の信じた道を行くっていうのが、いちばんのような気がするね。
それに、いつの時代も、成功した人に学ぶことは多いけれど、そういった人たちが守ってきた人生哲学って、意外なほど拍子抜けするような、常識的な、当たり前のことだったりするものだ。
礼儀作法や時間厳守、努力と忍耐、蓄積と継続……などなど、当たり前のことが出来て、少しの才能と個性、それに決断力があれば、今日より明日は、いい生活が出来るかもしれない。
そのことに、どうやって気づくかが、大切じゃないのかな。
オレも偉そうなことは言えないけど、常識の線だけは、かなりマトモだと思っているし、「常識人の変な人」というのが、オレの目指すところだ。
実際、この本を読んだすべての人が、オレと同じように感じるはずはないし、考えることもないんだけど、「やってみようかな」とか「明日がんばろう」という、きっかけのひとつになってくれれば、うれしいな。

 

 

 

 

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