起訴状
左記被告事件につき公訴を提起する。
二〇〇二年三月十八日 日本国民一同
検察官検事 渋谷陽一
出身 兵庫県尼崎市
所属 吉本興業
職業 お笑い芸人
勾留中 松本人志
一九六三年九月八日生
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公訴事実
一、被告人は、その飛距離のある発想と相方・浜田雅功の類希なるツッコミを故意に活用して日本国民の笑いの価値基準を変質させ、それ以前の同業者ならびにそれ以降の同業者に対して多大なお笑い的被害を与えた。
一、被告人は、同時に、突拍子もない世界観を有するコントならびにフリートークというものを発明・定着させ、落語的あるいは漫才的価値観を破壊した。
一、被告人は、さらにトーク番組自体のフォーマットまでを変革し、あくまでゲストをネタとして自らの芸に転じて番組にする方法を形作ってしまった。
一、被告人は、客、俳優、アイドル、タレント、ミュージシャンなど、目上の人として扱う存在だったものをこき下ろし、自らの立場、強いてはお笑い芸人の立場を上げることに加担した。
一、被告人は、武道館一万円ライヴ、料金後払いライヴを敢行し、あくまでお茶の間の娯楽だったお笑いの位置に大きな疑問を投げかけた。
一、被告人は、それらだけでは満足せず、自らのお笑いの道を追求することに執心し、ときに視聴者を突き放すレベルまで到達した。
一、被告人は、自らのことを天才と言って憚らず、誰に対しても偉そうである。
一、被告人は、奇怪な踊りを踊ることを得意としている。
一、被告人は、どこか話しかけにくいところがある。
一、被告人は、こと車のマナーのこととなると俄然ヒステリックになる傾向がある。
一、被告人は、同様にプライベートでむやみに写真を撮る者にヒステリックになる傾向がある。
一、被告人は、毎年、高額所得者名簿に名を連ねる割にはケチである。
一、被告人は、番組収録中も、つまらないことをあからさまに顔に出しているときがある。
一、被告人は、三日前にナンパして連れ込んだ女をもう一度ナンパしたことがある。
一、被告人は、あるとき喫茶店に入ると、そこの客の大半が自分のヤッた女だったことがある。
一、被告人は、そのくせ女性が絡むコントならびに、性愛的下ネタが苦手である。
一、被告人は、ウンコなどの生理的下ネタには滅法強い。
一、被告人は、最も風俗の似合う芸能人である。
一、被告人は、実は絵がうまい。
一、被告人は、プライベートではいつも同じような格好をしている。
一、被告人は、みんなが「いい加減、結婚しろよ」と思っているのに依然しないままだ。
一、被告人は、映画なんかを観ていて、結構泣く。
一、被告人は、最近、酒を飲みはじめた。
一、被告人は、神経質である。
一、被告人は、それでいて優しい。
よって被告人・松本人志に対して特別法廷「松本裁判」を開廷することを求めます。
本文P.4〜7から引用
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