読めそうで読めない漢字2000
著者
加納喜光
出版社
講談社+α文庫/講談社
定価
本体価格 913円+税
第一刷発行
1994/04/20
ISBN4−06−256039−9
いつも読んでいる新聞、雑誌に出ている日常的漢字の実例集!!適当にごまかして読んでいる漢字をなくし、自分だけが気がついていない間違いをなくす小事典

■目次
序章 漢字ガイダンス―明るい漢字相談室;第1章 正しく読めそうで読めない漢字―重箱読みから横文字訓まで;第2章 これだけ読めれば立派な教養人―花の名からCM漢字まで;第3章 漢字の常識度をテストで試そう―週刊誌の漢字の読み方

■要旨
うっかり間違って読んでいる新聞や雑誌の漢字。意味はわかっていても意外に読めない漢字。実際に新聞・雑誌に使われた日常的漢字2000を豊富な実例と解説で正しく読む。いつもは適当にごまかしていた読みを訂正し、うっかり読み、あいまい読みをなくすために。読めそうで意外と正しく読めない漢字をなくす漢字読本。一目瞭然の読み方テスト付き。

 

 

まえがき

ドラマのNGを集めて笑わせるテレビ番組がある。
台詞のとちりが主だが、そろそろ漢字の読み方もNGの対象になりそうだ。
ある若手アナウンサーが横書きになった「旧中山道」を「いちにちじゅう、やまみち」
と読んだという嘘のような話がある。
漢字に弱いアナウンサーのために、あるテレビ局は誤読注意の一覧表を張り出したそうだ。
例えば、幕間、御用達、古文書、農作物エトセトラ。
「酒呑童子」を「さけのみどうじ」と読んだらNG入り間違いなしだ。
もっともノリのいいアナウンサーはわざと間違えてNG大賞を狙うかもしれない。
若者が漢字に弱くなったといわれるのは事実だろうが、反面、漢字はかえって花盛りの観を呈している。
情報化社会が進んできたからだ。
なかんずくワープロという便利な機械の発明が大きい。ワ
ープロをこなすには漢字の読み方と使い分けの知識が必須になってきた。
そんなわけで、本書はもっぱら漢字の読み方をテーマに編集し、読者の便宜に供することにした。
普通は書物を読んでいれば、漢字の読みは自然と身につくはずだが、こんなに情報が溢れてはそう悠長にしてもいられない。
漢字の読み方を今すぐ克服するためのガイドブックがほしい。
そんな希望にそえるような書物を企図した。
そのためには実際の例に当たるのが一番である。
漢字は使われてこそ生きている。
使われない漢字は死んだも同然だ。
だから本書で扱うのはほとんど週刊誌に出ている漢宅ばかりである。
「えっ。こんなに難しい漢字が……」と思われる読者もいるかもしれないが、週刊誌はけっこう難しい漢字を使っている。
特に女性誌は漢字が目立つ。
衣食住その他の情報に漢字が欠かせないし、ファッション、化粧などに意外と漢字を使い、動詞・形容詞
など漢字で書くのがゆかしいからだ。
本書を著すために末尾に掲げた雑誌・新聞を調べたが、女性誌の引用がとりわけ多いのは以上の理由による。
本書は序章と三つの章からできている。
序章では、漢字の記号としての性質、構造、そして日本での使い方について、大体の知識を述べている。
三つの章では漢字ことばをいろんな分野・レベルから提供する。
雑誌や新聞から選んだ言葉や文句を例題として掲げ、それへの答を求めるという形で、漢字の読み方を会得してもらうしかけである。
×のついた読みはNGだから、NGを出した読者は正しい読みに切り替えるように願いたい(なお、雑誌などの出版年、号数はスペースの都合で省略した)。
第一章は漢字の読み方の種々相である。
漢字というものは、漢語的なのは音で読めばいいし、和語的なのは訓で読めばいいのだが、すべてそうは問屋が卸さないから、こんな本も必要になるわけだ。
重箱読みから始まって横文字訓まで、二〇あまりの読み方を習得していただきたい。
第二章は自然から人間までの各分野の漢字ことばである。
動植物は学問の世界では仮名書きすることになっているが、女性誌はこんな無粋なことはしない。
しかしこれだけで本が一冊できそうだから、本書で収めるのはほんのエッセンスである。
そのほか宛字、語呂合わせ、また、異体字、旧字体など、漢字そのものの性質に基づく言葉もここで扱う。
第一、二章が初級、中級向きだとしたら、第三章はやや上級向きかもしれない。
現代の情報化社会では、日本語の表現は常用漢字(一九四五字)だけでは間に合わない。
新聞は常用漢字に縛られている面があるが、週刊誌はその枠を全く無視している。
だからいろんな漢字の使い方ができる。
本章では、ちょっと読みにくい漢字ことば、一風変わった読み方などを提供する。
さきほど漢字の読みの知識がワープロの必須と言ったが、週刊誌などを読む際にも必要なことは当然である。
週刊誌をたくさん読んで腕を磨けばいいのだが、本書がもしそれに代わって読者の一助となれば、幸いこの上もない。
(本文 前書きから引用)

 

 

 

 

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