路に落ちてた月
 
  少年時代から、俺の周りにいた、酔っ払い、頑固オヤジ、セールスマン、ヤクザ、自称金持ち、お巡りさん、失業者、田舎の子、バスガイド、正体不明の女……いろんな人にしゃべったり、聞いたりした話です。  
著者
ビートたけし
出版社
祥伝社
定価
本体価格 1400円+税
第一刷発行
2001/12/24
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ISBN4−396−61138−2

 

けしさんの童話は、下手な夢をひとつも見せてくれない。

くだらない希望も決して持たせてくれない。それを毒だと言うのなら、現実は毒だ。

たけしさんは昔から現実ってそんなもんさという事を、みんなに面白おかしく語ってきたが、それは今でも変わらない。

さくらももこ

 

教訓も、癒しも、勝ち負けも、魔法も、無い。あるのは・・・・・・何にも無<ても良いです。─―まえがきにかえて

ビートたけし

 

とぼとぼ、

 

……のようなもの

ある男が道を歩いていると、犬の糞のようなものが落っこっていた。

よく見ると、やっぱり犬の糞で、臭いをかいだらやっぱり糞で、指で触ったら、やっぱりうんちで、舐めてみたらうんこで……

あ一、よかった踏まなくて。

男は安心して歩き出した。

 

 

武<んの子犬

武くんが子犬を拾ってきた。

母親に、「飼って良いか」と聞くと、「そんな汚い犬捨ててきなさい」と言われ、武くんは、犬を捨てに行った。

しかし子犬は、武くんの家をおぼえてしまい、何度捨てに行っても家に帰ってくる。

怒った母親は、武くんに、「犬が家を分からなくなるように、もっと遠くに捨ててきなさい」と言った。

武くんは犬を連れて、家から何時間もかかるところまで捨てに行った。

ところが、武くんが自分の家がどっちなのか分からなくなってしまった。

すると、犬がスタスタと武くんの家のほうに歩き出した。

武くんは犬について家まで無事に帰れた。

その事を聞いた母親は、それ以来、その汚い子犬を名犬だと言って、

とても可愛がった。

 

 

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