英語屋さんの虎の巻
 
  あの『英語屋さん─ソニー創業者・井深大に仕えた四年半』の著者は、英語にどう取り組んできたのか読者から寄せられたその疑問に応えるために、本書では、帰国子女でもなければ留学経験もない著者が、「英語屋さん」を経て産業翻訳者になるまでに編み出したコミュニケーション技術のノウハウを一挙に公開する。豊富な語彙を身に付けたカード学習法から、ビジネスで役立つ電子メールのコツ、プレゼンでの受け答えのヒント、インターネットの活用法など、実用的な情報がぎっしりつまった「虎ノ巻」が満を持して登場!  
著者
浦出善文
出版社
集英社新書/集英社
定価
本体価格 680円+税
第一刷発行
2001/11/21
ご注文
ISBN4−08−720113−9

はじめに

『英語屋さん─ソニー創業者・井深大に仕えた四年半』(集英社新書)を二〇〇〇年二月に上梓したところ、読者の皆様から様々なご感想や励ましをいただいた。
その中には「『英語屋さん』の続編を読みたい」というありがたいお便りもあった。

しかし、それが「井深さんやソニーについての話をもっと読みたい」という意味なら、残念ながら、いまの私にはもう書くことがない。
『英語屋さん』は、私が井深さんの下で働いていた一〇年以上も前の話で、たまたま手元に残っていた当時の手帳などを頼りに、消え行くおぼろげな記憶をふりしぼって書いたものだ。

あれ以外の記憶はもうほとんど残っていない。
ソニーという会社も、もうかなり前に代替りしているから、私が働いていた当時とは職場の様子も大きく異なっているだろう。

その後の同社については、私も新聞や雑誌を読んで得られる情報以上のものは持ち合わせていない。
だが、英語やコミュニケーションに対する考え方とか取り組み方についてもっと書いてほしいという依頼があれば、実をいうと、前著を上梓した直後から、快諾をもってその答えとするつもりでいた。

私はいまもなお、フリーランスの産業翻訳者という一種の「英語屋」として仕事をしているし、それ以前から続けている英語の勉強やその後の翻訳業という仕事を通して得た知識、経験ならびに間題意識から、書きたいことがたくさんあったからである。

幸い、『英語屋さん』の上梓に際してお世話になった集英社の新書編集部からふたたび、小著を世に送る機会をいただいた。
この場を借りて厚く御礼申し上げたい。
本書は、かつては会社員として、そしていまはフリーランスの立場で「英語屋」を務めてきた私が、これまでの勉強や仕事で蓄積したコミュニケーション上の技術や考え方をまとめたものである。

第一章日本人は「英語ができない」のか?では、「日本人は英語ができない」という一般論を私なりの視点から再検討し、私自身の英語に対する考え方や取り組み方をざっくばらんに,囲陳する.第二章「英語屋さん」の勉強法では、私が学生時代から今日に至るまで、日本国内で英語を身に付けてきた方法を具体的に紹介する。
また、産業翻訳の仕事に携わる私の知識と経験から、それ以外の仕事でも役立ちそうな電子辞書(CDIROM辞書/HD辞書)やインターネットの活用法を説明する。

第三章効果的なビジネス英語術では、ゼジネスに携わる人が知っておいて損はない英語の知識、プレゼンテーションや電子メールなど各種のコミュニケーション技術の要諦を説く.併せて、英語およびコミュニケーションに関する今日の社会問題について、「英語屋」としての視点から若干の提言をさせていただいた。読者諸氏におかれては、それぞれの必要に応じて、お好きなところからお読みいただきたい。

実用的な英語を身に付けたい学生、実際に仕事で英語を使っておられる社会人の皆様には、いくばくかでも興味を持っていただけるものと期待している。
本書には、前著にも増して実用的な内容を多く収録したものの、前著と同様、英語を勉強するためのテキストではない。

本書を読んだからといって、ただちに英語やコミュニケーションが上達するわけではない。本書はあくまで前作と同様に、私自身の経験やノウハウをご紹介するために書いた読み物に過ぎない。
タイトルはあえて『英語屋さんの虎ノ巻』とした。

前作の『英語屋さん』が当たったことに味を占めたネー、・ミングではないかと批評される向きもあろう。
ご明察の通りである。 (本文から引用)

 

 

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