「イヤなことがなかなか忘れられない人」のための本
 
  どうしてあんなこと言われなきゃいけないんだろう。相手のちょっとした一言をふと思い出してしまうとき、うっかりロにしてしまった言葉を後悔してしまうとき、上手くいかない自分がイヤになったとき、イヤなことをなかなか忘れられないというのは、生まれつきの性格ではありません。イヤなことを繰り返し書えることによってつ<られた"心の習慣"なのです。しかし、"心の習慣"は「断ち切る」ことで、変えていていくことができるのです。これを本書から読み取っていただければ幸いです。  
著者
生月誠
出版社
青春出版社
定価
本体価格 1100円+税
第一刷発行
2001/11/25
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ISBN4−413−03300−0

「イヤなことがなかなか忘れられない人」の共通点

相手にいわれたキツい一言が何度となく思い出され、何をやっても、ふと思い出してしまう……。
そんな経験はありませんか。
ふつうは、ある程度時間がたてば、いつの間にか忘れてしまいます。

ところが、それをなかなか忘れられない人というのは、.最初はたった一言でも、それが何度か繰り返されるうちに、「なんで、あんなこといわれなきゃいけないんだろう」

「なんで、私っていっもこうなんだろう」と、「なんで、なんで……が頭について離れず、イヤなことばかり考えてしまう"心の習慣"ができてしまうのです。
しかも、一度っいてしまった"心の習慣"は、いくら気持ちを落ち着かせようと頑張ってみても、気分転換しようとしても、そう簡単に変わるものではありません。

「こんな小さなことでクヨクヨしなくたって」と頭ではわかっていても、いつまでも引きずってしまうものなのです。
ここが大事なところですが、問題はいつまでも引きずってしまう"白分"にあるのではありません。
"心の習慣"です。"心の習慣"とは何か、どのようにしてイヤなことを引きずるようになったのか、もう少し詳しく説明しましょう。

イヤなことを引きずってしまう人に共通するのは、とても「まじめ」であるという点です。
ものごとをキチッとやろうとする、人にいわれたことを、しっかり受け止めようとする……ものごとを誠実に、良心的に考えるタイプで、そういう傾向の強い人が引きずりやすくなるものなのです。

あなたにも思い当たる点はありませんか?もともとまじめな人は、まじめにものごとを処理していく。
それで成功してきたという経験をもっています。
たとえば、子どもの頃、一生懸命に描いた絵をほめられたという人もいます。

運動会の徒競走で、転んでも何とか起き上がって走り、「よく頑張ったね」と、まわりから拍手をもらったという人もいます。このように、まじめにやることで、ほめられたり認められたという経験があり、そのことで両親や周囲の人たちから高く評価されてきた。
そのため、何事にもまじめに良心的に取り組み、考えるという傾向がっくられていくのです。

それによって、「ものごとの処理→まじめにやる・考える→解決・達成→高い評価→満足・喜び」という流れが頭の中にできます。
こうした流れで、すべてがうまく処理できればいいのですが、なかには、うまくいかない場合も出てきます。
たとえば、理不尽と思われることをいわれてイヤな気分になった場合はどうでしょうか。

あなたは、「ものごとの処理↓まじめにやる・考える」の手順通り、そのイヤな気分を何とか処理しようと、それに対して、まじめに考えます。そして、自分自身にその原因を求めようとします。

つまり、「自分のどこが間違っていたのか?」とか、「自分のどんな欠点がイヤな状況をつくり出したのか?」という具合に、非常にまじめに反省的になるのです。
いままでの多くの経験から、まじめに反省して解決してきたがゆえに、イヤな気持ちになった場合も、やはりまじめに反省して対処しようとします。
ところが、反省したとしても、問題はうまく解決しません。

そこで、「自分のどこが悪いのか」、あるいは「自分の過去の何が悪かったのか」と、自分の性格や生い立ちにまで立ち入って追究することになります。
そして、どちらかといえば、あまり愉快でないことを追究することになり、そのまた追究をまじめにしてしまう。すると、まじめに取り組めば取り組むほど、かえって不愉快になったり、ストレスが強まるということが起こってきます。
イヤな気持ちはちっとも解決しないばかりか、逆にそのイヤな気持ちが高じてしまうのです。

 

 

 

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