2色特集
◎「悪い財政赤字」をな<すには
◎自然再生型公共事業がやって<る
二行話題学
◎若手政治家
◎ユニーク条例
◎時代がわかるキーナンバー
◎身近な外来生物
◎現代おさかな事情
◎コリアンフード
◎スパイス・調味料
◎健康診断結果の見方
◎万病に効<ツボ
◎アロマテラピー
◎サブリメント
◎メジャーリーグの話をしよう
◎ワールドサッカー・キーワード
◎最新カタカナ・外来語/略語辞典
いまが読める人物ファイル
巻頭カラー特集
新型戦争と世界
たんぱ<質から迫る脳のなぞ
不良債権問題の真実
保存版スペシャル
経済ニュース楽読み講座
こども・カラー特集
日本の政党はどう対立しているのか
日本新語・流行語大賞[全記録]
水の惑星の危機
〜第3回世界水フォーラム[2003年日本開催)に向けて世界の水問題を考える〜
高知工科大学・社会システム工学科 村上雅博
1水の世紀を迎えて
20世紀に世界の人口は一挙に3倍に、そして水の消費量1は6倍に増えるなかで、地球環境も大きく変貌している。
地球温暖化と寄り添うように渇水や異常豪雨などの異常気象が不規則に多発化する一方、汚染が進行する危機的な状況に入り込む構図のなかで、2000年には総人口が60億人に達した。
水の惑星を脅かす最大の視点と論点は、60億人のうち70%、さらに人口増加の94%が発展途上国に集中していることにある。
基本的な食料生産に必要な水だけでなく、安全な飲料水すら途上国の人々の手に届かず、10億人が深刻な水不足の中であえぎながら生活している。
世界の80力国で水の供給が不十分であり、地球総人口の40%が日々の水確保ができないなかで、毎年300万人の子供が飲料水に起因する疫病で死亡している。
また、東西冷戦終結後に勃発した地域紛争は、直接の犠牲者に加えて膨大な数の難民を生み出し、水道に代表される社会基盤が破壊されたり、極端に生活用水が不足する状況を生み出した。世界の水資源問題の焦点は、有限の水の惑星(地球)に、宗教・民族問題と人口増加が複雑にからみあって問題を先鋭化する過程で水紛争の構図に入り込み・問題解決の糸口すら見えないまま21世紀に突入.していることにある。
2.現実に存在する三つの水不足
地球は水の惑星であり、循環する水資源の量は一定でありながらも、時間的・空間(地域)的な偏差が著しいことに一つの特徴がある。
宇宙船地球号のなかで降雨の絶対量が増えることはなく、水資源は有限な資源である地球規模の水不足の最大の脅威は、自然災害の一断面である異常干ばつ(渇水)と人口増加による水需要量の増人である。
さらに貧困問題による給水施設の未整備と老朽化および地域紛争(戦争)による社会水基盤施設の被害や破壊が水不足の状況を人為的に深刻化させる。
世界の水不足問題を大局的にみると、おおよそ以下の三つの状況に分類される。
★第1の不足−絶対量の不足−
中東・北アフリカ地域に代表されるように、潜在的水資源(降水)の絶対量が基本的に少なく、人口増加率も高いため、国家レベルでの水紛争の潜在的可能性が高い地域がある。
中東・北アフリカの人口は2.8億人で、過去30年間で2倍に増加した(年平均人口増加率は2.5%)。
ムスリムの年平均人口増加率3%が継続すると30年以内に再び人口は倍増して5億人を越える。
世界の人口の5%を有するが、降雨によって滴養される持続的な水利用のための潜在的資源は1%以下しかない。
1960年に1人当たりの水資源賦存量が3300立方メートルであったものが、降水の絶対量が変化せずに人口だけが増えたために、1995年には60%減の1250立方メートルに落ち込んでいる、さらに2025年には650立方メートルに落ち込むことが予想されている。
ヨルダンでは、1990年に308立方メートルあった1人当たりの水資源賦存量が10年後には190立方メートルまで下がっている。
過去数年間にわたる異常干ばつの影響は国民生活に大きな影響を与え政府は危機管理体制に入った。
このままの人口増加が続くと2025年には95〜114立方メートルにまで落ち込むことが予想されている。
都市への人口集中は年平均で4%増大し、中東・北アフリ力地域の60%以上の人口は都市に集中している。
現在4500万人が安全な水供給を受けられず、8000万人が衛生に問題のある状況に置かれている。
|