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暗号攻防史
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著者
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ルドルフ・キャペンハーン | |||||
出版社
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文春文庫/文藝春秋 | |||||
定価
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本体価格 762円+税 | |||||
第一刷発行
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2001/01/10 | |||||
ISBN4−16−765102−5 |
はじめに 子どものころ、ミステリーは人並みに好きだったが、暗号に特に興味をもっていたというわけではなかった。 数学を専攻した大学時代にも、自分が学んでいる学科が暗号技術といかに密接に結びついているか意識したことはなかった。 画期的な暗号作成法が発表されたという話を友人から聞いたのがそのきっかけだったが、始めてみると思いもかけず暗号の魅力の虜になってしまった。 いつからか、この魅力を人に伝えたいという欲求を感じるようになった。 本書では、ドイツの暗号機エニグマとその暗号の解読に成功した人々の人間ドラマとに二章を割いた。 筆者が興味をそそられるのは暗号そのものに対してである。 多方面から寄せていただいたご助力がなかったら、本書を完成させることはできなかった。 感謝申し上げる。フランツーレオ・べーレッツ、ヨアヒム.ハインケ、ライマー・リュスト、ハルトムート・ペッツォルト、ヴォルフガング・スコンド、ヘルムート.シュタインヴェーデルの各氏には特にお世話になった。 ハンブルク地方裁判所首席判事にも感謝申し上げる。ロルフ・シュピンドラー氏には本書に掲載する写真を撮影していただいた。 本書の執筆を勧めてくれただけでなく、筆者の以前の著作と同じように本書も最初から最後まで精読して的確な批判を下してくれた。 ゲッチンゲンにて 一九九七年三月十七日 ルドルフ・キッペンハーン
第1章 歴史を彩った暗号 私は、あらゆる形態の暗号についてかなり詳しく知っている。 「大橋サン、ワタシ、もし死刑になったら、化けて出ますからね」と囚人は特高警部補に向かって言った。 囚人はドイツ人ジャーナリスト、リヒャルト・ゾルゲ。 最初の数週間は、挫折というこの初めての経験に打ちのめされていた。 ゾルゲは、ナチス・ドイツのソ連侵攻後にモスクワの赤軍参謀本部第四部へ向けて、日本が東方からソ連に攻撃を仕掛けることはないと情報を送っていた。 この私、リヒャルト・ゾルゲこそ、世界史の流れを決定したと言えるのではないか。 |
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