土間の四十八滝
 
  言葉の噴水、町田康の語彙、文体、キャラクター、モチーフが溢れた 22編からなる作品には、死者たちの現世への哄笑が鳴り響く。  
著者
町田康
出版社
メディアファクトリー
定価
本体価格 1200円+税
第一刷発行
2001/07/13
ISBN4−8401−0313−5

猿ぼんぼん

東京でわびしいさびしいおれ

人間以下のけだものにUVケアーを施して遍路

苦労して習得したタイプの技術とか運転術とか

そんなものをすっかり忘れて遍路

でもおれ公務員やら職人やら

いろんな人に助けられたり怒られたりしてデニーズでまたさびしい

おれくたくたになってっからおれ遍路だから

だからおれ塩蔵野菜 ?

歯抜け ?

おれ落後者 ?

畜肉 ?

こんなおれなんて早くぶつ壊れてしまえばいいのに

ってでもまだ遍路

もうこれ以上一歩も歩けねぇけど心は遍路

気持ちは遍路はりきんろって息ばっかりしゅうしゅう洩れて

でおれ、きそくえんえんってどういう字 ?どう書くの ?

民家ひとの家の土間に這いこんでヒイヒイいってんだけど誰も出てこねぇ

おれを咎めだてすんじゃねえの ?

たたき出すんじゃねえの ? おれヒイヒイいってっけど

 

 

 

 

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