リーダーシップ
 
  史上最高の経営者モーセに学ぶ・社会はあらゆる階段でリーダーを強く求めている!モーセの知恵は、何千年も経った現在、物事をモ抜く眼とリーダーシップの技術を教示!  
著者
デーヴィッド・バロン/著 熊野実夫/訳
出版社
セルパ出版
定価
本体価格 2800円+税
第一刷発行
2001/10/22
ご注文
ISBN4−901380−04−4

日本語版への序文

敬愛する小泉総理閣下

あなたは、あなたの国民の希望を実現することを委任された代理人であるリーダーであります。
同時代の若いリーダーとして、あなたは、さまざまな源泉から得られる知恵を尊重されることと思います。
あなたのインスピレーションの源の一つとして、謹んで本書をあなたにささげます。

お国は今、大きな変化の時代を経験しつつあり、リーダーであるあなたには、国民にこの時代をなんとしても切り抜けさせることが求められております。
言葉を実現させる力をもつリーダーシップの手本の一つは、エジプトで奴隷をしていた人々を自由の民へと変革させる間に、ユダヤの人々を導いたモーセの経験であります。
人生を奴隷の観点から見る人々を、いまや自由となり、遊牧の生活に伴う急速かつ激しい変化にさらされる自由の人々へと変革するには、人々の意識に大きなパラダイム・シフトが起こらなければならなかったのであります。

そして、このパラダイム・シフトのためには、新しく生まれた子が親になるまでの期間を必要としました。
お国は、現在の困難を切り抜けるためには、その過去からもっともすぐれたところを汲みだし、さまざまなところから生き残りの技術を選び取らねばなりません。
ユダヤの人々は、難局に直面するたびに入念に事実を調べ、その解決法を考え出すことによって、生き残り、また、繁栄する方法を、その逆境から学びました。

紅海を分けるとか、水を出すために岩を打つといった奇跡的な行為はいつも望まれることでありますが、状況に応じて考え方と行動を変え、新しい考えを出していくことが欠くことのできない味方となるものでありましょう。
お国の人々は、ユダヤ人と同様、家族、教育、勤勉、誠実さといった共通の価値を尊重してきました。

荒れ野(不確かさやストレスに満ちた時代)から、約束の地(安全、平和、繁栄)に人々を導くにあたり、モーセは、人々一人ひとりに犠牲を払うこと、またその犠牲を人々全員が共にすることを求めました。
モーセはまた、その目的を達成するため、神の導き(インスピレーション)、問題の実際的解決(思慮・分別のある解決)、賢明な助言(よき助言者)を利用しました。
モーセは人でありましたから、それなりに誤りを犯したことは事実です。

しかし、そのたびに彼は学び、成熟していきました。こうして人々も経験を重ね、知恵を深め、生き残りの技術を身につけ、成長し、ついに目的を達成したのであります。
戦後、文字どおり灰嬢の中から立ち上がり経済大国になった日本の人々の回復力は、人々が回復の種子を自分たちの中にもつことを証明するものであります。
「火事で焼けた家の煙がまだ消えない内に、はや復興の槌音が聞こえる」という悲惨な火災に関するお国に古くから伝わる言葉は、この理想を証明するものでありましょう。
偉大なリーダーは、粘り強さというこの種子を育て、次世代への遺産をつくり出します。

モーセが後継者ヨシュアに与えた言葉をもって言えば、「ハザック、ハザック、ヴェニットハゼック、強くあれ、強くあれ、そしてお互いに強め合おう!」であります。

二〇〇一年九月

ラビ・デーヴィッド・バロン