なぜか、「仕事がうまくいく人」の習慣
 
  世界中のビジネスマンが学んだ成功の法則 ** 仕事に優先順位をつけるな。すぐにやれ! 世界14ケ国で出版された 超話題作 !**  
著者
ケリー・グリーソン ・ 楡井浩一(訳
出版社
PHP研究所
定価
本体価格 1350円+税
第一刷発行
2001/3/1
ISBN4−569−61488−4

亡き父と母に

日本語訳に際しては、ヘレン・コーバンさんにチェックをしていただいた。

 

 

はじめに

『能率向上プログラム(PEP)』は、世界十四カ国で出版され、このテーマが広く世の関心を集めていることを証明してくれた。
わたしは、出身地も育った文化も違う、数多くの人々といっしょに仕事をしてきて、ビジネスの世界はひとつになりつつあると実感している。
世界中のビジネスマンが、似たような問題を抱えているのだ。彼らは、やることは多すぎるのに、そのための時間は少なすぎると感じている。それはなぜだろうか。

二台目の車が欲しいのでもっと稼がなければならないとか、勤め先の会社がアシスタントを使わないと決めたので、何から何まで自分で処理しなければならなくなった、とかいう理由かもしれない。
自分で事業を営んでいるなら、自分でやらなければ仕事が終わらないということもあるだろう。

金を稼いだり二台目の車を買ったりするため、なぜ人々が時間と人生を犠牲にするのかは、興味深い問いかけではあるが、わたしが力を入れてきたのは、そのような論議ではなく、やらなければならないことをやるための、最も効果的で能率的な方法を見つけることだ。

数年前、本書の第一版が世に出て以来、テクノロジーの進歩はすさまじく、物事を処理する方法も大きく変化した。コンピューターチップを内蔵した電子機器のおかげで、事実上、いつ
でもどこでも仕事ができるようになったのだ。インターネットは、ビジネスの手法を根本から変えつつある。

在宅勤務やネットワーク上の仕事など、より柔軟な仕事環境がビジネスに取り入れられつつある一すべては、新たなテクノロジーのたまものだ。
たしかに、パソコンや携帯型の情報端末機(PDA)、柔軟なオフィス構造、イントラ・ネットなど、今日の仕事環境は複雑になった。しかし、その複雑さにもかかわらず、こうした新しい道具を使いこなし、バーチャルオフィスで成果を上げ、おまけに時間的余裕のある人は多いのだ。

効率よく仕事をして成功を収めている人たちに、わたしたちが学ぶべきところはたくさんある。
本書は、われわれビジネス・テクノロジー協会(IBT)が、過去十五年間にわたって指導とトレーニングを重ねながら、「仕事がうまくいく人々一から学んだ経験をまとめたものだ。

われわれの着眼点は、一貫して、個人の生産手順にある。生産性の高い人々は、何をしているのか?どうやっているのか?そのやりかたを煎じ詰めれば、誰にでも役立つ法則になるのではないか?この本は、そういった能率的なビジネスマンから、時間節約のためのアイデアと行動を抽出したエッセンスである。それに加え、読者自身がこういった生産的なアイデアを自分のものにする一助になればと、われわれが開発した方策も盛り込んである。

かつてチャールズ・デイケンズはこう言った。「時間厳守の習慣、秩序と勤勉、一度にひとつのことに集中するための決断力。それらがなければ、わたしはこれほどの業績を残せなかっただろう」この言葉からは、仕事にも人生にも成功したいと思ったときに欠かせない重要な要素が多く読みとれる。時間厳守の習慣、秩序、勤勉、決断力、そして集中力。

デイケンズの時代とは道具がちがう。時間の感じかたもちがう。
だが、成功するための心構えは、いつの時代でも変わらないものだ。

二〇〇〇年一月

フロリダ州ボカラトンにて
ケリー・グリーソン

 

序章…能率向上プログラム(PEP)とは何か

・いつも時間が足りないと感じる。
・やることが多すぎると感じる。
・自分のやりたいことをやる時間がもっと欲しい。
・ほとんどの時間を書類の山に埋もれて過ごしていると感じる。
・定時に終えられない仕事をこなすのに、遅くまで残業をしたり、週末までかかったりすることが多い。
・仕事についても人生についても、やりたいことをほんとうにやりとげているか、疑問を感じる。
・仕事につぎこんだ時間と労力に見合う成果を望んでいる。
・もっとひんぱんにリラックスしたり、休暇を取ったりしたい。

以上の項目に、ほとんどの人は声高に「そのとおり」と反応するだろう。
もしあなたの反応も同じだとしたら、思わぬ喜びがあなたを待ち受けている。こういう問題を、この本を読むことにとって克服できるという喜びだ。自分の仕事、そして自分自身にとって最も重要なことを完遂し、自分と家族のための、そして自分がやりたいことのための時間をつくることもできる。

ビジネスマンは「効率よく仕事をする』方法を知らない

なぜいつも時間が足りないのだろう?働きすぎと感じながら、その一方で、むだな時間を過ごしていると感じるのはなぜだろう?答えは単純そのもの。大部分の人たちが、職業については正式な教育を受けていながら、そのほとんど─特にビジネスマン─は、能率よく効果的に仕事をする方法を教わっていないからだ。

準備の整えかたや、仕事の進めかたを知らないビジネスマンが多すぎる。建物の設計図を引いたり、気の利いた広告をつくったり、取引をうまくまとめたりする方法は知っていても、就業時間を効果的に整理することや、邪魔が入ったとき、思わぬ好機が訪れたとき、優先事項が発生したときに、うまく対処することができないのだ。

わたしの友人であり、同僚でもあるイギリス人が、こんなふうに言っている。
「大学に通って、職務に関する教育を受け、就職する。出勤してみると、そこに突然、『書類』.が登場する。誰も書類のことなんか教えてくれなかったぞ!どれを取っておけばいい?どこに置けばいい?もう一度見つけるにはどうすればいいんだ?」

わたしは自分の仕事を通じ、聡明かつ有能で、専門知識もあるビジネスマンに数多く出会った。わたしの手に余る複雑な問題を、たやすく解決する人たちだ。ビルを建て、貨物を運び、製品を開発し、サービスに努め、病気さえ治療する。

ところが彼らのほとんどが、すばらしい能力と学歴を持っているにもかかわらず、ストレスに満ちた人生を送り、やるべきことをやるだけで汲々としていた。
それは、実際にオフィスで働くための基本を教わったことがないからだ。

自分個人の仕事をどうやって効率よく処理するか。これこそ、現在の教育に欠けている要素である。その失われた環を補ってくれるのが、能率向上プログラムなのだ。
ごく最近になって、ようやくアメリカのあちこちの大学で、興味をそそるプログラムが試験的に実施されるようになった。それは、教授に教えかたを教えるというもの。

教える立場の人間に、教えかたを教える!これまで大学教授たちは、自分たちの仕事に関して、この重要な視点をトレーニングされたことがなかった。自分たちの専門分野に関する知識を披露すればそれでよかった。

しかし多くの大学生が主張するように、学術的な訓練だけで立派な教師ができるわけではない。
家庭もまた、基本的なトレーニングが欠けている場所のひとつだ。子どもを持つ前に、親業の手ほどきを受けるカップルなどいないだろう。それと同じく、管理職のビジネスマンのほとんどは、自分の仕事を管理する基本的トレーニングを受けていない。

仕事のしかたの「細かい改革』が成果に結びつく

さて、わたしたちには能力があり、もっと効率よく仕事をする方法があることもわかっている。
けれども、教わってこなかったことについては、どうずればいいのだろう?同僚のひとりが、システム手帳や予定表のなどを便っているのを目にして、自分も手に入れてみたり、試行錯誤によって、何とか使いこなそうと努力したりする。たいていの場合、そこそこうまくいって、すぐに不自由なく使えるようになる。

しかし、仕事に取り組むために自分で編み出した方法というのは、必ずしも職場の法則に合っているわけではなく、本来の効果を発揮できないこともあるだろう。
仕事上の習慣は、ある特定の環境で役立っても、業務内容が変わったり、会社が併合されたり、業務が縮小されたりしたときには、同じ成果を上げるのに、二倍の努力が必要になる。それまでの仕事を処理するやりかたでは、新たな、要求の多い仕事環境には合わないこともあるだろう。

わたしたちは習慣の生き物なので、やりかたを変えるほうがうまくいくとわかっていても、実際に改めるのは難しい。
それでは、仕事を進めるうえで、最も効果の高い方法は何だろう。どうずればやりかたを変えることができるのだろう。どうずればもっと効果が上がるのだろう。

その答えは本書に書いてある。そういう問題点を能率よく処理する方法を紹介するのが本書の目的である。本書を読んだ結果、あなたは労働時間を減らすことができ、やるべきことを、もっと楽にこなせるようになるはずだ。

以前わたしは、ある成功した大金持ちに、成功の秘訣をたずねたことがある。
その人物は、簡潔に答えてくれた。「細部まで、細かく」。

わたしたちは誰でも、職業上の成功が細部に注意を払うことから生まれると知っているが、それと個人の仕事のやりかたがどう関わるかは、知らない。わが能率向上プログラムは、仕事のやりかたの細かな点を明らかにしている。

本書に収められた知識と経験は、能率向上プログラムで使われているものだ。仕事のやりかたを少しずつ向上させるにしても、思い切ってすべての手順を改革するにしても、仕事の細部
にまでじゅうぶん目を配らなくてはならない。

細かい部分に焦点を絞ることで、自分の行動を改善できるのだ。それを実施すれば、思った以上の利益があることを実感していただけるだろう。
西欧諸国の製造業者は、特に国際競争が激化して以降、時間と資金をつぎ込んで、製造過程の分析、改良、洗練に努めてきた。その効果は明らかだ。製造業における生産性と品質は、飛躍的に向上している。

ところがいわゆるホワイトカラーの仕事においては、サービス業から情報処理、管理職に至るまで、ビジネスの手順を分析したり建て直したりするのがいっそう難しくなっている。
個人的な仕事の手順などというものは、ビジネスの一部として認められることもめったにないし、分析や洗練の対象ですらない。

能率向上プログラムが、仕事の生産性を二倍にする

仕事の量と質を向上させるために、各個人が仕事をどう進めればいいか。
ビジネスマンの世界では、そもそもこのような視点がないため、改革に積極的に取り組んでいる企業でさえ、品質と生産性の連鎖の環が部分的に欠落している。欠けているために、そのことになかなか気づかない。〃目の前にないもの〃を見るのは難しいからだ。

しかも、この失われた環は、現代の職場で働くビジネスマンたちにとって、絶えずフラストレーションを生む原因となっている。
生産性の連鎖における失われた環を補うのが、能率向上プログラムである。仕事が多すぎると嘆く、すべての人の役に立つはずだ。この十五年のあいだに、三十万人もの人々が能率向上プログラムの助けを得て、一週間にこなせる仕事量を大幅に増やした。このプログラムで学ぶのは、以下のようなことである。

・仕事をうまく管理する方法
・仕事を簡単にする方法
・時間を節約する方法
・自分にとっていちばん重要なことを決める方法
・自分にとって重要なことを達成する方法

能率向上プログラム(PEP)とは、仕事を進めるための、そして個人の生産性を大きく伸ばすための、これまでにないやりかただ。わたしは、一般的なビジネスマンなら、現在の生産性を、三倍とはいかないまでも、二倍にすることができると確信している。おおかたの人々の生産性は、それほど高くないからだ。

これは何も、懸命に働いている人間がいないと言っているのではない。十カ国あまりの国々で、何百という企業の社員とともに仕事をし、実際はその反対だとよく知っている。みんなとてもよく働く。そして大多数の人たちが、いい仕事をしたいと思っている。

しかし、その努力にもかかわらず、さほどのことをなしとげていない。
正しいことを正しくやれば、人の生産能力に限界はないと言ってもいい。PEPは、物事を正しく行なう方法と、正しいことに取り組む方法を教えてくれる。
PEPをとり入れれば、仕事を単純化して、今より少ない労力で仕事をこなせるようになる。

百万長者になりたい、カウチポテトを決め込みたい、もっとたくさんのことをやりとげたい、定時に会社を出たい……。動機がなんであれ、本書で取り上げた基本原理が、その願いをかなえてくれるはずだ。

この手引書は、ビジネス・テクノロジー協会(IBT)で働く百人あまりのトレーナーがマンツーマンで教える方法そのままに書かれている。顧客に仕事上のよい習慣をつけさせることに成功したトレーナーたちの経験を、わかりやすくまとめてある。能率を上げることができた三十万人分の情報が詰まっているとも言える。
けれども、情報を手にすることと、その情報に基づいて行動することは、まったく別であるし、行動を変えるのもまた別である。変えるための簡単な手段はないが、われわれが開発した方法は、非常に役立つはずだ。

本書を読みすすめれば、あなたは、次のような基本原理を実感できるだろう行動を変えたいと思ったときは、徹底的に行なうほうが簡単である。さらに『すぐにやる』という考えかたが、あなたの体に叩き込まれるだろう。

より多くのことができるようになり、いちばんのお荷物、つまり先のばしのくせも克服できる。
悪い習慣の代わりによい習慣が身につき始める。人間が習慣の動物であるなら、よい習慣を身につけよう。わたしたちの時間、そして心の平安が危機に瀕している今こそ、変わろうとする意志が必要なのだ。

PEPはスポーツのトレーニングに似ている。強くなるためには、一歩ずつ先へ進まなければならない。読むだけでは何もならないのだ。もしこのプログラムを実行するつもりがないのなら、この本を読むのはやめたほうがいい。今すぐほうり出して、いくばくかでも時間を節約するべきだ。

さもなければプログラムを実行して、時間をたっぷり節約するか。選ぶのはあなた自身だ。
本書があなたの生活の質一クオリティ・オブ・ライフ一を大いに変えることは、わたしが保証する。

 

 

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