男と女とのことは、何があっても不思議でない
 
 
  魔がさす人生は愉しい。 何回生まれ変わっても、女っていいよ。  
著者
林真理子
出版社
PHP
定価
本体価格 1300円+税
ISBN4−569−61401−9

恋のはじまりとかけひき

人は恋をするものである。男と女は、自然と魅かれ合い、思いのたけをお互いにぶつけ合うものである。

・・・・・・『マリコ・ジャーナル』・・・・・

 

よく「恋に恋する」という言葉があるけれど、あれは本当に真実なのだろうか、どこまでが、恋していることなのか、どこまでが相手に恋していることを楽しんでいるのか、ちゃんと答えられる人は誰もいないはずだ。

・・・・・『ローマの休日』・・・・・

 

恋の始まりにはいろいろなかたちがある。好きで好きでたまらなくなって、長年つきあった揚句、やっと思いとげる恋。もう片方にあるのは、何かのはずみで関係を持ってしまい、それから好きになってしまうというタイプ。私は後者の方が、ずっと多いと思うのだが、いかがだろうか。

・・・・・女のことわざ辞典』・・・・・

 

女心というのは不思議なもので、相手の男があまりモテすぎても困るし、モテなくても困る。その絶妙なバランスのところにいてほしいと願うのは誰しも同じであろ

・・・・・『ルンルンを買っておうちに帰ろう』・・・・・

 

私はライバルの存在を、むしろ歓迎する女である。

強力なライバルは、常にいた方がいいとさえ思う。

ときたま気の小さい女がいて、

「私、あんまりハンサムな男の人好きじゃない。他の女の人みんなも欲しがりそうで......」

と言ったりするけど、私は、バカと叫びたい。

「他の女が欲しがらないものなんか誰がいるか。みんなの欲しいものが、自分ひとりだけのものになるというのが快感なのじゃ−」こんなことを言うと、さぞかし私は気の強いイヤな女だと思うでしょう。だけどつい最近まで私は、他の女が現われるたびにイジイジ泣いて、ひとり苦しんでいた側の女なの。

・・・・・『花より結婚きびダンゴ』・・・・・

 

私の友人の中に、カッコいい男はイヤッという女がいる。

「だっていつもびくびくして暮らさなきゃならないじゃない。他の女と競争しなくちゃならないしさ。私、ブ男でもなんでもいいわ、私ひとりのものになってくれるなら...,..」

なんと情けない奴だと、私は舌うちする。

そしてその後、必ずこう言ってやるのである。

「あ−ら、他の女もいらない、なんていう男、私も欲しくない。みんなが欲しがるものを、私だけが手に入れる。これぞ恋の醍醐味じゃないの」

しかし、このテの恋愛というのは、非常にリスクが大きい。

当然、ライバルたちもたくさん出現して、バトルロイヤルが始まる。ま、負けたこともありましたし、勝ったこともあった。

それよりも多かったのは、疲れ果てて、途中でイチ抜けたアーをしたことであろうか。

・・・・・『麦のことわざ辞典』・・・・・

 

オトコから電話がかかってくる頃だと思うと、風呂に入っていても気が気ではない。

濡れたからだにバスタオルをまきつけ、電話機を洗面所まで運んでくる。

これならベルの音がシャワーで消えることがない。

私はやっと安心して、浴槽にからだをのばした。

うふ、私って本当にかわいい女なんだから」といつものように自己陶酔の瞬間だ。

私はある言葉を思い出したのである。

「マリコちゃん、電話をバスルームに持ち込んだら、それはもう恋よ!」

そう言ったのは誰だっけ。

そう、そう、うんと仲のよかった女友だちだ。

・・・・・『今夜も思い出し笑い』・・・・・

 

本文P.10〜13より

 

 

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