BOOKSルーエのおすすめ本 画像
 酔いがさめたら、うちに帰ろう。
著者
鴨志田 穣 著
出版社
スターツ出版
定価
税込価格 1,365円
第一刷発行
2006/11
ISBN 4-88381-047-X

『酔いがさめたら、うちに帰ろう』出版記念サイン会のご報告

日時 2006/12/02 PM2:00から 
    弊社BOOKSルーエ店頭 アクセス
先着 150名様

*** 抽選会がございました ***
昨日、スターツ出版のご担当者様から、連絡があり、 なんと先生からのプレゼントがありました。抽選で、屑ルビーと衣装をご用意して下さいました。

TOP


先着150名様でのサイン会でしたが、あっという間に整理券がなくなりました。
ご苦労さまでした。鴨志田先生は、吉祥寺在中。また、お立ち寄りください!


トーハン のKさんです。お手伝いありがとうございます。
西原先生、ご参加。豪華なサイン会になりました。
お忙しいのに申し訳ございません。ファンの皆様も大喜び!

画像をクリックすると拡大されます。

 
強制入院したアルコール病棟で起こる珍奇な騒動。
 

本の要約

強制入院したアルコール病棟で起こる珍奇な騒動。
別れた元妻と子どもたちとの優しい時間。
情けなくも笑えて切ない脱アル中私小説!
みんな、おうちに戻りたい・・・・・・。

戦地でも吐血10回でも死ななかった強運の元戦場カメラマン ─ 僕
分厚い筋肉を持つ元とび職でサーファー。刺青の自治会長 ─ 吉田
飯を食って鼻血、風呂に入って鼻血、いっつも鼻血 ─ 鼻血
食事係を吉田に解任され恨む。底意地の悪さは天下一品 ─ 坂井
テレビを投げたり、お風呂でウンコしたりの暴れん坊 ─ 伊藤


オススメな本 内容抜粋

二年ほど前、とある病院の内科医が、
「あなたは間違いなくアルコール依存症ですね」
なぜか瞳をきらきらと輝かせながら、僕を見つめた。
居酒屋で「まっ、とりあえずビールね」、なんて感じの重大な宣告だった。
“トントン”と僕のデータが書きこまれた書類の束を机に静かに打ちつけながら、医師はふり向
き、
「アルコール専門病院への紹介状書いておきますので、なるべく早めに行って診てもらってくだ
さい。内臓も血液データも、よく歩いていられるなと、不思議になるくらいボロボロです。さぞ
やつらいでしょう」
「はあ、まあ」
確かに会う人ごとに、
「どうしたんですか、その顔色」
おどろきを隠さずに皆一様に目を見張る。
しげしげと自分の顔を鏡に映して見ても、わからない。
確かに白目が黄色っぽいかなあ、とは思っていた。
手はぶるぶると震えているが、一杯、二杯とカップ酒を一気にあおると、指の震えも“ピタリ”
と止まる。
それが毎朝、一番最初にする行為だった。
「よーし、これで仕事もできるぞ」
机に向かうと、二十分もしないうちにお尻がむずむずしてくる。
居ても立ってもいられなくなり、コンビニへ向かう。
ウオッカの小びんを三本、三百五十CCの缶ビールを五本、まとめ買いする。
ウオッカをコップになみなみと注ぎ、ビールのプルトップを“プシュッ”と開ける。
ウオッカをぐびりと飲りながら、チェイサー代わりにビール。
つまみは何もいらない。
机の上にある時計を見ると、午前十時半。もう一日が終わりである。
こういう日々がどれくらい続いているのか、頭の芯が二十四時間、ずーっとほんわか温まった
ままなので、いつからこの朝酒が始まったのか、思い出せない。
机に向かって座り、ウオッカをあおり続けながら、三十代まで体験したさまざまな出来事をふ
り返る。
隅に置いてあるミャンマーでプレゼントされた輩翠の数珠を手に握りしめ、
「来世が幸せになりますように」と頬を淡くピンクに染めて、恥じらいながら手渡してくれた、
肌が透き通るほどに色白の美しい女性を思い浮かべたり、
イスラエル西岸のアラファト議長府のある町、ラマラでひろった、赤土の上に転がっていたイ
スラエル軍が発砲したゴム弾と実弾の薬萸を見つめ、一日中イスラエル軍と対峙しながら、石を
投げつづけるパレスチナの子どもたちの後ろ姿や夕刻になると、がれきの影からひょいと姿を現
した、でっぷりと太り、ほっかむりをしたおばさんが、子どもたちに何やら大声を上げると、子
どもたちは一斉に投石をやめ、がれきの影に走り去っていく。
走りながら一人の少年が立ち止まり、夕陽に赤く照らされた顔をこちらに向ける。僕に、
「ディナー・タイーム」
そう大声で言いのこして、笑ったことを思い浮かべたりしながら、ウオッカを口に運んでいる
と、ふと時計を見やるともうあっという間に午後の一時になっている。そして同じように、いつ
の間にかウオッカニ本が空になり、ビールもすべて飲み干していた。
この時間になると酔いも体中に行き渡り、麻痺した胃は小腹が空いたように感じる。
「さて、と」
一声上げ、ひざをたたき、立ち上がろうとすると、決まって一度よろっとよろける。
離婚して二年、母の元に居候して何もせず、いや、酒だけは仕事のようにきっちりと飲んで過
ごす日々。

(本文P. 7〜10より引用)

 

▼この本の感想はこちらへどうぞ。 <BLANKでご覧になれます



e−honでご注文
BOOKSルーエ TOPへリンク
 ★ 会員登録はこちら(1500円以上で宅配送料無料)⇒


このページの画像、引用は出版社、または著者のご了解を得ています.

当サイトが引用している著作物に対する著作権は、その製(創)作者・出版社に帰属します。
無断でコピー、転写、リンク等、一切をお断りします。

Copyright (C) 2001 books ruhe. All rights reserved.