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 38℃ 北京SARS医療チーム「生と死」の100日
著者
麻生幾/著
出版社
新潮社
定価
本体価格 1500円+税
第一刷発行
2004/01
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ISBN 4-10-432603-8
 
SARSは北京の医師・看護師・市民らを死の恐怖に陥れた。が、それは日本でも起こりうる。疫病との壮絶な「戦争」を再現したパニック・ドキュメント。
 

本の要約

病原性微生物との戦いは、これからも永遠に続く。日本人よ、今こそ教訓とせよ!  全世界で8400余名が感染、死者916名。うち192名は北京の市民だった。SARSが爆発的に広まった2003年の春、北京の病院・救急施設では、一体いかなる壮絶な医療オペレーションが展開され、人々はどのような悲劇に直面したのか……。医師・看護師・行政担当者らの生々しい証言をもとに再現する、渾身のパニック・ドラマ!



オススメな本 内容抜粋

病疫のこの突然の退潮は思いがけないことではあったが、しかし市民たちは、そうあわてて喜ぼうとはしなかった。
今日まで過ぎ去った幾月かは、彼らの解放の願いを増大させながらも、一方また用心深さというものを彼らに教え、病疫の近々における終息などますます当てにしないように習慣づけていたのである。
アルベール…カミュ作『ペスト』(新潮文庫・宮崎嶺雄訳)より


私には誤解があった。
巨大な都市が悪魔に魅入られたのは、そもそも衛生状態と公衆衛生に問題があったからではないか。
そしてなんと言っても、社会主義という国だからすべてが特別であるそんな誤解があった。
北京に足を踏み入れて分かったことは、世界のどこでも見かけるごく普通の家庭、ごく普通の職場、そしてごく普通の人たちがそこにいた、という事実だった。
そして、そんな“ごく普通”の彼ら、あるいは彼女たちが〈目に見えない敵〉と死闘を繰り広げた戦場は、どこにでもある“ごく普通”の生活の中にあった。
しかしその“戦場”は余りにも想像を絶していた。
巨大都市でいったい何があったのか。
ヒトという生物はいかにして戦いを繰り広げ、そして生き延びたのか。
人類が生存してゆくためにSARSだけではなく、地球上に存在するあらゆる病原性微生物、さらにテロリストによるバイオテロリズムに対抗して生き残るために、我々はこの教訓をもっと早く、より多くのことを学ぶべきだった。

麻生幾

 

 

病原性微生物と永遠に戦い続けるであろう
すべての医師、看護師と研究者に捧ぐ。


[補足]

人類を”捕食”し続ける病原性微生物の中で、例えば、今回の冷血な主人公である
「SARS」の“本名”は〈重症急性呼吸器症候群〉。
英語文を直訳したものがそのまま使われている。
つまり、読んで字のごとく、肺などの呼吸器の症状が、“急激”に、しかも“重症”となる病態を指す。
原因は、医学生が読むウイルス学の本に古くから登場する「コロナ」と呼ばれる、風邪のウイルスの仲間である。
電子顕微鏡で覗けば、ウイルスの外形がまるで太陽から放たれるコロナ(炎)と似ていることからそう名付けられた。
しかし、2002年冬から2003年夏の間、全世界に急激に感染が広がったこの「ウイルス」は、今まで知られたものとは違っていた。
明らかに“進化”したものだった。
すなわち人類が初めて遭遇した正体不明のウイルスだった。
現在、世界保健機関では、SARSにかかったのかどうか、またSARSの患者である
のかについて三つの分類をしている。
@「疑わしい患者」
A「可能性のある患者」
B「SARSであると診断(確認)された患者」
WHOでは、AとBの患者が発生した場合に「SARS患者」と呼ぶこととし、速やかに通報することを全世界の加盟国に呼びかけている。

(本文P. 6〜9より引用)


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