ファッション ファッショ
著者
山田詠美 / ピーコ  著
出版社
講談社
定価
本体価格 1400円+税
第一刷発行
2003/09
ISBN 4-06-211991-9
 
「Style」誌の人気連載の単行本。カッコ良く着ることはカッコ良く生きること。流行に踊らされない、ブランドに頼らないワン、オンリーの生き方を見つけよう。
 

オープントウの靴にストッキング、パーティドレスにバーキン、ゆるゆるのサッシュベルト、ジャストウエストのパレオ――憎むべきアイテム撲滅のために、今日も二人は愛ある毒を吐き散らす。

目次
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・パーティーの作法
・シルエットを探せ
・ブランド信仰の罠
・全身が映る鏡
・流行サーフ術
・若気の至り
・「似合う」が大前提
・最初に基礎ありき
・もてる服と勝負服
・ジャパネスクの怪
・客観性を取り戻せ
・お洒落は我慢
・ザ・ファッション対決
・有無を言わせぬ着こなし
・ダイエット考
・冬の怪談
・時計占い
・美容奇談
・ピーコ印計画
・ミニ指南
・ドレスコードの掟
・機内の靴と化粧事情


ピーコ
スタイルってどんな雑誌?

詠美
よく知らない。でもこの連載タイトルがファッション ファッショでしょ?
直訳すればピーコさんと私の"お酒落弾圧"対談だけど。

ピーコ
悪ロ言いまくれってことか。

詠美
う〜ん。たぶん。

ピーコ
勇気あるわね。じゃあご要望に応えなきゃ。詠美、最近むかつくことあった?

詠美
いきなりですね(笑)。むかつくというか、
今日ここに来るとき乗ってきた電車で、女の子たちのファッションが見事に同じだったのには驚いたな。

ピーコ
どんな格好?

詠美
キャミソールに力ーディガンを羽織って番上のボタンを留めてる。でフレアース力ートにミュール。
6〜7人女の子がいたんだけど、冗談抜きでクローンみたいだった。

ピーコ
今年の夏は、ほんとにみーんなミュールはいてたわよね、どいつもこいつも。いいのよ、どうぞはいてくださいとは思うんだけど、なんで大雨の日でもはいてるわけ? しかも今の若い子って、歩き方が下手だから水が跳ね上がって、足がべちゃべちゃになっている。

詠美
力夕力夕音立てて、ずるずる足を引きずる歩き方ね。遠くからでも音で分かる。

ピーコ
あれって"ブスブスブス"って聞こえない?

詠美
飛ばすなあ(笑)それにしてもなんでおんなじ格好になっちゃうんだろうね
お酒落って、ちょっとでも自分を素敵に見せたいと思ってするものじゃない?
皆と同じじゃ振り向いてもらえないじゃん。
私はそんなのつまらない。

ピーコ
たとえば、おへそがちょっと見える赤いギンガムチェックのフレンチスリーブのブラウスに、細身のパンツを合わせる。
靴はぺったんこで、髪をショートにして、アジアンテイストの籠か何か持って斌爽と歩いていたら、皆振り向くわよ 新鮮で可愛いー
だけど現実には、大半の人が皆と同じじゃないと落ち着かないのよね。
自分だけ目立っちやいけないという、
日本の教育が功を奏したんだろうけど、でも、心の底では「目立ちた
い目立ちたい」と思ってる

詠美
だから渋谷とか、局所的に"悪目立ち"ファッションが発生したりするんだろうね。
ブランドとかヴィンテージとかに対する、ちょっと怖くなるくらいの執着も、そんなゆが歪んだ自己顕示欲の表れかもしれない。

ピーコ
そうね、欲望が屈折しちゃってるのよ。今は皆がいろんな格好しているように見えるけど、実はグループごとの情報源はーヵ所だけじゃない?
そこから外れることは許されないんだと思う。

詠美
"着る"つて、もっと自由で楽しいものだと思うけど、みんなが同じブランド品持ちたがるのとかって・・・・。

ピーコ
どこか強迫観念に駆られているような感じよね。
そうそう、強迫観念と言えば、エルメスの行列見た?

(本文P.9〜11 より引用)


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