ツーアート
著者
ビートたけし/著 村上隆/著
出版社
ぴあ
定価
本体価格 1500円+税
第一刷発行
2003/04
ISBN 4-8356-0061-4
最強タッグ”ツーアート”が放つ 真摯でバカヤロウなにっぽんアート論

■おすすめコメント
世界の北野、お笑い芸人ビートたけしと若手アーティストのプロデュースやポップな作品世界で知られる村上隆の二人が語る「アート」な世界。まぐれやとんでもないものから生まれるアートの面白さ、日本文化の独自性、そして評論家に対する辛口コメントなど、日本を代表する異才二人がアートとニッポンを言葉の限り、とことん語り尽くした一冊です。

■内容抜粋
本書「アートとは何か?◎ビートたけし」より抜粋
アートとは何のためにあるんだろうね。おいらは、生きる・死ぬっていうだけの世界から解放された瞬間の、その時間をどうやってつぶす、塗りつぶすかだけのものだと思ってる。あらゆることは、音楽もアートもそうだろうね。あいたには何か妙なときがあってね。イタコ状態っていうのがあるんだよね。漫才もそうだし、ラジオ喋りのときにイタコ状態になってた。終わったときに何喋ったか覚えてない。それはたまにいい舞台っていうかウケた舞台でそういうときもある。アーティストってもの作ってるとき、そういう状態のときがあるんじゃないかと思うね。何を作っているっていうんじゃなくて、その行為をやってる最中に、ただひたすらトランス状態に入っているとか。そういう楽しさもあるのかなと思うね。……

これがアートかアーティスト村上隆への印象◎ビートたけし

村上さんの作品を初めて見たとき、ここまでアートとして広げていいものか、とビックリしたね。
アートはこういうもんだって、思い込んでいたわれわれの固定化したアタマを思いきりドツかれたというか。
これはタカラとかバンダイとかといった、おもちゃ会社のやつらが作ったモノかと思ってたもん。
アートというよりは、アニメ・ファンとかオタクの人たち相手の商売のひとつだろうと思ってたから。
いきなり村上さんのアートを、ボンって見せられたとき、これがアートなのか……という感じだったね。
あとで考えれば、おいらは発想的にそこまで広げちゃってもいいとは思うんだ。
アートはこうじゃなきゃいけない、っていうほどのものは全然なかったはずなんだよね。
でも、やっぱりアートっていうと、ちょつと気取った部分があるっていう気がしてたんだよね。
たとえば、単なる商業主義には迎合しないとかさ。
それが、モロ商業主義というか、完全にそういうものを欲している人に向けてるものだったでしょ、村上さんの作品は。
だから、驚いたんだよね。
よく、アーティストと呼ばれる人たちは、いいモノ作りたい、とか言うじゃない。
そういう昔ながらの考え方ってあるんだけどさ。でもそういうこと言ってるやつに限って、いいモノを作ったことがないのは間違いないんでね。
芸人でもさ、「テレビとかラジオなんて関係ない。われわれはそういうもののために芸をやってるんじゃないんだ」って言ってるわりには、テレビにすんごい出たがってるようなやつがいるけどさ。
結局、そういうやつらは、そういう理由でもつけとかないと、とてもやっていけないってのがあんだろうね。
村上さんっていうアーティストは、そういうやつらとは全然別のところにいる。
これは、物凄いと思う。
とはいっても、ガサツとかそういうんじゃないんだよ。
考え方がフリーなんだけど、わりかしひと回りした後のフリーというのかな、まるまる一周考えた挙げ句にアニメとかフィギュアの世界にやってきたっていう感じなんだよね。
われわれの場合で言うと、テレビやラジオで有名になりたい、っていうのは、別の側面もあってね。舞台をさんざんやってきて、こういう芸をもっと広めたいんだっていうような感じで、だから売れたい、っていうこともあるんだよ。
村上さんのアートには、そういうとこを感じちゃうんだよな。
同じアニメをやるにしても、目盛りが一コ上かニコ上なんだよね。
オタクっぽく見えるし、いわゆる商業主義に迎合しているようにも見えるだろうけど、それは意識的にやっていることで、ちゃんと目盛りがある。
なぜ、この位置にいるか、っていうことに必然性があるんだよね。
だから、配置としてはオタクと同じ配置に見えるけど、どこか違うものになっていると思う。
それにしても、村上さんって、練りに練るよね。
練りに練って、ああいう作品に辿り着いたんだよな。
へたすると、感覚的には寸分の狂いもない世界のものかもしれないよね。
表現したいことがズバリ、カタチになっているのかもしれない。
やっぱり何かが違うんだよね。オタクが集まって人形作っているというようなモノとは絶対違うんだよ。
それはやっぱり、自分の作品に限らず、アートというものの前後、つまり、ひとつの作品が出てくる背景とか関係性を、追求してきたからだと思うんだよね。理論家だからさ、村上さんは。
ホントものすごく考える。
でも、考えすぎるなあっていう感じがしないでもない。
たとえぱ、おいら自身のことでいえば、無意識に作った作品っていっても、それは十分
自分の頭の中では整理のついている話なんだよ。でも、村上さんは、たとえわかっていても、新しく自分でなぞって再認識しないとヤダっていう感じがある。
なぜ、この作品がここにあるのか、っていうことを再認識しようとしているところがある。
だけど、芸事でもなんでも、みんなそうだと思うんだけど、村上さんもずっといろんな人の絵とか、いろんなものとか見てきて、その結果としていま、この活動をやっているわけだよね。
われわれがお笑い始めたときも、何だかんだ知らないうちに他人のお笑いが頭に入っててさ、先輩たちがやってたお笑いも全部頭に入ってるんだよね。
それを踏まえた上で、新しいことってこういう形だよなって思って、やったらウケただけで。それを逆に理屈をつけていくと、いろんな理屈がつくにはつくと思う。

(本文P.6〜9より引用)

 
 


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