キッス キッス キッス
著者

渡辺淳一

出版社
小学館
定価
本体価格 1500円+税
第一刷発行
2002/10/10
ISBN4-09-379134-1
あなたは愛を正しく伝えていますか 

太宰治、谷崎潤一郎、平塚らいてう等が綴った熱情あふれる十九通のラヴレターを素材に、恋愛小説の名手・渡辺淳一氏が読み解く。明治・大正から昭和へかけての時代史としても貴重。

  太宰治、谷崎純一郎、平塚らいてう、高村光太郎等が綴った熱情あふれる十九通のラヴレターを素材に、恋愛小説の名手・渡辺淳一氏が読み解く。谷崎などの高名な文人以外にも、山本五十六のような軍人がきわめて素直に、ありのままの恋心を綴った手紙を、その時代背景とともに渡辺氏が考察を加えるもので、不倫関係であったり、戦時下での極限の恋であったりと赤裸々に思いの丈をぶつけたラヴレターは実に感動的である。明治・大正から昭和にかけての時代史としても貴重な資料であり、また、昨今見直されている日本語の魅力も再発見できよう。著者自らの若き日のラヴレターも収録!

あとがき

いま、若い人はもちろん、かなり年輩の人までメールや電話で用件をすませ、手紙を書くことはずいぶん少なくなった。そして愛する人への思いまで、メールで伝えられることが多いようである。
こういう時の流れを見ているうちに、ふと、これまでさまざまな人が書いてきたラヴレターを探し、読んでみたいという衝動にかられた。
とはいえ、もともとラヴレターは秘かに書かれ、秘かに読まれるものだけに、公になっているものはきわめて少ない。
それも散逸しているものが多いが、そのなかからここに登場している人々が残したものを、なんとか探し出すことができた。
いずれも明治から大正・昭和へかけて、熱烈に生きた人々で、その生きざまはラヴレターの一字一句にまで生々しく浮き出ている。
まさしく、ラヴレターは恋する人に愛を伝えるものでありながら、その人の本音と生きた時代を現わすもので、ここに登場するラヴレターそのものが、日本の近代史といっても過言ではない。
それにしても、ラヴレターは自らの思いを凝縮させ、自らの手で書くもので、それは各々の自分史であるとともに、その人が最も燃えて高揚したときの記録でもある。
シリーズの最後に、わたしがかつて受取り、そして送ったラヴレターを載せたがこれは編集者の希望でやむなく実現したことである。もっともその裏には、これだけの人々のラヴレターを秘かに見て検討した、その罪滅ぼしの意味もなかったわけではない。
いま改めて読むと恥ずかしく、文章も不完全で書き直したい個所もあるが、その欠点もまた若さの至らなさと思い直し、そのまま載せることにした。
この一冊を読んだ読者が、これをきっかけにラヴレターを書き、ラヴレターを送ろうという気持になってくれたら、そんな嬉しいことはない。

平成十四年盛夏東京にて

著者

(本書あとがきより 引用)

 
 

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