知の潮流
著者

井沢元彦

出版社
桜桃書房
定価
本体価格 1600円+税
第一刷発行
2002/09/25
ISBN4-7567-2068-4
時代(いま)を読む

これぞ対談の愉悦

教育・捕鯨問題から歴史・文化まで、多彩なゲストを招いて繰り広げる白熱のトークセッション。

こんな話が聞きたかった!

あとがき

この対談集は以前「週刊文春」に連載されたもの(井沢元彦の新世紀探訪)の中で、主に文化人との対談をまとめたものです。
科学者、技術者との対談は別に『井沢元彦の未来講座言霊社会とサイエンス』(徳間書店刊)にまとめられていますので、興味のある方はそちらをごらん下さい。
今、あらためて振り返ってみると、感じることは二つあります。
一つは日本文化の厚味ということです。
やはり日本という国は、他のどの文明圏にも属さない、独自の文明圏であって、われわれはそのことをもっと深く自覚し、誇りを持つべきだということです。
そして、もう一つは、そのことと密接につながっていて、明治以来日本は世界と交流して生きていく道を選択しましたが、そのために今までは同じ日本人同士、「腹を割って話し合えばわかる」という原理の下に生きてきたのに、それが通用しなくなってきたということです。
日本文化はある意味で大変個性的なものです。
西洋文明やイスラム文明とはもちろん大きく違いますが、問題なのはすぐ近くの中国や韓国の儒教を中心とした文化とも大きく違うことです。
日本人は、まさに日本人の文化的流儀で「同文同種」だとか言いますが、私の名前も漢字(中国文字)で書いているとはいえ、その文化の中味はまるで違います。たとえば、昨今、政治問題化してしまった靖国参拝問題もそうです。
「悪人は死んでも悪人で、ツバを吐きかけてもかまわない」というのが儒教です。
儒教では孝(親への忠誠)が絶対ですから、自分の親を殺した人間はあくまで免罪されることはありません。
しかし、日本では「死んでしまえば皆仏」という死が罪を浄化するという考えが実はあります。
このことを自覚していない日本人がほとんどですが、そう言われれば誰もが納得するでしょう。
問題は、こういうことを自己主張することが、日本では、「悪」ととらえられることです。
しかし「主張」はおろか「説明」すらしなければますます誤解されるだけのことです。
まずいことに、日本は互いに「100パーセント」の主張はせず、譲り合うのが「美徳」とされる社会です。
ところが、日本を一歩出ると、アメリカでも中国でも韓国でも「ダメモト」で100パーセント主張しなさい、という世界なのです。
そういう相手の要求に、常に合わせていこうという考えでいたら、一体どうなるか。
もうおわかりでしょう。
昨今の日本の混乱、そしてストレスの原因はそこにあります。
これを解消するには、日本人全体が自分の文化を自覚し、主張していく他はありません。
この本がその一助となれば私にとって大変うれしいことです。

二〇〇二年八月

井沢元彦

 
 

このページの画像、引用は出版社、または著者のご了解を得ています.

当サイトが引用している著作物に対する著作権は、その製(創)作者・出版社に帰属します。
無断でコピー、転写、リンク等、一切をお断りします。

Copyright (C) 2001 books ruhe. All rights reserved.