元側近が明かす石原新党
著者

大貫悦司

出版社
ビジネス社 
定価
本体価格 円+税
第一刷発行
2002/07/01
ISBN4-8284-0990-4
石原慎太郎の真実に迫る!

■目次
第1部 苦渋の永田町時代(決起への道;行動開始;解党的出直し ほか);第2部 飛ぶ鳥も落つ、都知事時代(再起をかけた都知事選;水を得た、都知事就任;最大関心事は国政 ほか);第3部 次の一手(揺れる心;自民党復党;新党結成)

■要旨
本書は、主として「平成元年(一九八九年)」以後の言動に触れながら、「石原慎太郎像」を描いたものである。執筆にあたっては、わが国政界の問題点などをちりばめながら、前段では追憶の意を込め、エピソードなどを折り込みつつ、氏の姿をできるだけ生々しく描くよう努めた。後段では、都知事として現に都政に携わっていることを踏まえ、諫言の意も込め、できるだけ客観的に描くよう努めるとともに、「次の一手」にも言及した。

はじめに

「石原慎太郎」は、摩訶不思議な男である。
世界観・歴史観・文明観を語るその姿は、まさに大人を彷佛とさせる。
しかし、小役人を相手に逆上したり、異論を唱える者に対しいきなり恫喝するその姿は、小人では、との疑念を抱かせてしまう。
田中康夫長野県知事が、「石原氏は臆病者」と決めつけた理由が那辺にあるかは知らないが、意外とこの辺にもひそんでいるのであろうか。
小泉総理誕生により下火になったとはいえ、依然として燃り続けている石原総理待望論は、おそらく前者への思いがなせる業であろう。
しかし、その大人なる風格も、都知事就任以降、萎えつつあろかに見える。
待望論なる空気に無理に応えようと、全方位をにらんだ、現実的かつコンパクトな、永田町的な政治家に変身しようとしているためであろうか。
いまや稲葉修元法務大臣(故人)が絶賛した「石原氏の世界観」なるものは影をひそめつつある。
かつて自民党派閥横断の政策行動集団「黎明の会」(代表・石原慎太郎)の事務局長として、会の設立から解散に至るまで、政策提言のとりまとめなど、石原氏と一体となって行動し、その異彩ぶりを承知している者として、誠に口惜しい。
本書は、主として「平成元年(一九八九年)」以後の言動に触れながら、「石原慎太郎像」を描いたものである。
平成元年といえば、氏自らが自民党総裁、すなわち「事実上の総理大臣」選挙に打って出た年である。
自らの志を内外に示した画期的な年であり、石原氏の政治活動の分岐点ともいえる。
以後、総理を目指し、政治活動を活発化させることになるが、二つの異質な時代に区分けされる。
一つは、都知事就任までである。
結局、自民党は、異端児・石原氏を受け入れようとは
せず、議員を辞職することになる。
「苦渋の永田町時代」と言えよう。
もう一つは、都知事就任以後である。
これを境に、石原氏は別人に豹変する。
永田町とは異なり、自らの思いをストレートに表現できる大統領型の知事のポストが適っているためであろう。
思惑以上の展開に、いまや総理のポストを思い描くまでに至っており、まさに「飛ぶ鳥も落つ、都知事時代」と言える。
執筆にあたっては、わが国政界の問題点などをちりばめながら、前段では追憶の意を込め、エピソードなどを折り込みつつ、氏の姿をできるだけ生々しく描くよう努めた。
後段では、都知事として現に都政に携わっていることを踏まえ、諌言の意も込め、できるだけ客観的に描くよう努めるとともに、「次の一手」にも言及することにした。
小泉人気の低落に反比例するかのように、再び石原総理待望論が高まり、これに応えるかのように、石原新党立ち上げに向け、徳田虎雄衆院議員のような、国民の目に見える動きや、昭和五年生まれの作家、評論家や企業経営者などで構成される「初午会」のような、密かではあるが確かな動きも見られ、風雲急を告げているからである。
ただ、石原新党結成までには紅余曲折が予想される。
まもなく七〇歳に届こうとする年齢もネックの一つであろう。
メディアの加熱ぶりとは裏腹に、永田町が意外と冷めている理由はそこにある。
今回の知事選で国会議員(当時は落選中)としてただ一人、選挙カーに乗り込み、石原氏を応援した山東昭子現参院議員も、それを代弁するかのように、その
能力を誉め称える一方で、総理としての年齢的限界に気を操んでいる。
また、徳田氏や、これに呼応しているかのように報道されている小林興起氏などと、石原氏側近との軋礫も無視できない。
共に天を戴かないほどの関係にあるからである。
ただ、石原氏も政治家であり、いざ鎌倉となれば、側近の意見などに惑わされず、自ら英断を下すものと思われる。
さて、石原氏は、どう決断するか。
本書で触れる「石原慎太郎像」は、これを探る手がかりになろう。
氏のライフワークが外交・防衛であることから、いきおい取り上げる事例もアメリカとか、軍隊がらみのものに偏らざるをえない。
が、結果的には「石原氏らしさ」を浮き彫り にできたのではないかと思っている。
「大人・石原慎太郎」の信奉者に応えるためにも、いまこそ石原氏は初心に帰るべきである。
永田町的な政治家にできる並みのことについては彼らに任せ、氏にしかできない、もっとスケールの大きなことに挑戦すべきであり、かくしてこそ歴史に名を刻むことになろう。

平成一四年四月

大貫悦司

(本文 はじめにより引用)

 
 

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