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 LOVE
著者
古川日出男/著
出版社
祥伝社
定価
税込価格 1,680円
第一刷発行
2005/09
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ISBN 4-396-63253-3

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誰も知らない東京のもうひとつの姿と、そこに生きるものたちを鮮やかに描く、青春小説。
 

本の要約

古川日出男著『LOVE』が、第19回三島由紀夫賞(新潮文芸振興会)を受賞しました。


都市とそこで生きるものたちの喪失と再生を、鮮やかにきりとった青春群像小説

なんとも新鮮で、神話的で、「すべて」がある世界なんだ。
――高橋源一郎

古川日出男は、我々の足元に広がる(でも、衰弱した我々には感じることのできない)「もう一つの世界」の匂いを嗅ぎ、その音を聴き、見つめることができる。ちょうど、野良猫がそうであるように。それは、なんとも新鮮で、複雑で、神話的で、ええい、「すべて」がある世界なんだ。
――高橋源一郎

僕は速度だ。
あたしたちは全員同じだ。
でも、あたしたちは全員、違うのかもしれない。
現代なんて三月後には消費されて、東京の記憶から消されるんだろうな。

僕は速度だ。
あたしたちは全員同じだ。
でも、あたしたちは全員、違うのかもしれない。
現代なんて三月後には消費されて、東京の記憶から消されるんだろうな。



オススメな本 内容抜粋

おれはきみのことを知っている。
きみの名前はカナシーという。椎名可奈、それが中学時代からシーカナ(椎.可奈)と呼ばれ
るようになって、東京に来てからカナシーになった。東京に来てからは、二回だけしか、生まれ
育った土地に戻っていない。一度めは、きみの大切な友人が事故に遭って、見舞った時。もう一
度は、きみが心の底から嫌っていた級友が事故死した時。葬式に出た。それは二十二歳の夏だっ
た。きみは思いっきり泣いて、きみはすっきりした。復讐のことを忘れて、以来、町には戻らな
い。
就職した。抹殺したいものはもう、ないんだって気づいて、ふつうに生きた。
名前のことは気に入っている。きみは「カナシーって呼んで」と言う。たとえばプライベート
で会った人間には、ほとんど全員に、そう告げる。親しさの演出ってわけじゃない。きみは演出
なんてしない。それがここ、東京でのきみの自然体なのだ。椎名さん、や、椎名君、と呼ばれる
のは仕事の間だけでじゅうぶんだし、そもそも君付けされるのはムカついた。それから、可奈ち
やん、と不用意に呼びかける人間を、きみは本能的に嫌悪した。シーカナと声をかける人間が現
われると:::ちょっと戸惑う。きみは、あれ?て思うのだ。どこかに引き戻されるのだ。それ
で、時どき電話で話していた町の友人たちとも、ほとんど連絡は絶えた。
気づけばきみは、ほとんど東京だけにいる。
きみの名前はカナシーだ。
カナシーが全人格的にカナシーとなって、四年か、五年が過ぎている。いま、二十七歳になっ
た。おととい、部屋から男が出ていった。つきあった期間は二年とちょっと。最初のデートから
三カ月めには同居することを決めていたから、部屋に残っているボーイフレンドの痕跡は、ずい
ぶん濃い。それがいやだった。もともと、きみの名義で借りているアパートだった。これで自分
一人の部屋に戻るはずだったのに、そうならない。残像を感じる。だから、カナシーは、早いう
ちにそこを引き払わなくちゃ、と考えている。
引っ越そう。
絶対。
絶対にあたし、越す。
でもなんか、あたしが追い出されるみたいでリフジンだな、と考えている。別れるだろうとの
予感は半年前からあったから、感情が揺らいだりは、しない。あるいはしているのかもしれない
が、カナシーはちゃんと抑制できている。問題は、あたしの居場所だ。前夜、そして、その前の

(本文P. 6〜7より引用)

 

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