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 吉祥寺消えた街角
著者
土屋 恂/著
出版社
スタジオK
定価
税込価格 2100円
第一刷発行
2004/06
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ISBN 4-309-90586-2
 
昭和40年代の吉祥寺 踏切がなくなった 町から都市への曲がり角
 

本の要約

1960年代、高度経済成長の波にのって、中央線も高架化し、沿線の町は都市へと変貌していった。
国鉄に勤めていた著者は、長く馴染んだ街の光景が、一夜にしてコンクリートの塊に変わってゆく姿に、焦燥と哀惜を覚え、なにげなく見慣れた街角を記憶にとどめようと、シャッターを押し続けた。



オススメな本 内容抜粋

あとがき

今でも、私から写真を除いたら何もない、何も残らない生活である。
最近は、レンズもファインダーもついていない「針穴写真機」の製作に精を出している。
ボール箱で作った何の変哲もない箱カメラだが、この写真機が作り出すソフトフォーカスの映像は、驚くほどの表現力を見せつけてくれる。
超高層ビルの建設ラッシュの最中、東京都庁ビルをはじめとして、たくさんの高層ビルの姿を撮影して歩いた。
ビルの屋上に上って展望写真も撮った。これこそが、我が写真人生である。
そんなとき、武蔵野市役所から市制施行五五周年記念として『二〇〇二年武蔵野市市勢要覧』を発行するから協力してほしいと要請があった。
昔私が撮った吉祥寺の街の写真を使用したいというのである。
市広報課の職員佐藤肇さんとスタジオKの小池牧子さんがわが家を訪れたとき、ふとした話から本書の企画が生まれたのであった。
市の発行する印刷物には何度か私の写真も掲載されたことがあるが、私がただ好きで撮り溜めた写真をまとめて、多くの人に見ていただけるのは、この上ない幸せと思い、古いネガケースを一枚一枚見直す決心をした。
しかし、本にまとめるという作業をしてみると、思いがけないことに気づかされた。
本書は、吉祥寺の街に的をしぼって編集されているが、私が夢中で記録していた昭和四〇年(一九六五)から五〇年(一九七五)という時代は、吉祥寺の街が激変した時であるというだけでなく、日本の国全体が、吉祥寺と同じように、かつてない変貌を遂げた時代だったのである。
はからずも私の写真は、日本の歴史の重要な変革期の記録にもなっているのではないか。
その思いは、望外の喜びであった。
それが、吉祥寺という限られた地域の記録にもかかわらず河出書房新社が版元を引き受けてくれ、なおかつ加藤嶺夫さんの名著『東京消えた街角』にあやかった書名を許してくれた理由だと思い、感謝したい。
また、取材に応じてくれた吉祥寺と井の頭の街の方たちにもお礼を申し上げたい。
最後に、長い間写真三昧の生活を許してくれた妻に、ありがとう。

二〇〇四年五月吉日

土屋悔

 

(本文あとがき  より引用)


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