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 道路の権力 道路公団民営化の攻防1000日
著者
猪瀬直樹/著
出版社
文芸春秋
定価
本体価格 1600円+税
第一刷発行
2003/11
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ISBN 4-16-365400-3
 
道路こそが全ての権力の源である。経世会支配の打破を狙う首相から道路公団民営化委員会の委員に抜擢された著者が見た、権力中枢の闘い、秘密、裏切り、その全ドラマ。
 

本の要約

「道路こそが政治であり、富の分配であり、すべての権力の源である」
 その権力の中枢に当事者として斬り込んでいった猪瀬直樹氏によるノンフィクションが本書。『日本国の研究』で特殊法人による税金の無駄遣いを明らかにした猪瀬氏は、今度は政策の立案者として、小泉総理に道路公団の民営化の方策を探るよう頼まれます。いま、日本で権力のありかが軋(きし)みをたてて変わりつつあることを、当事者ならではの筆致で書き下ろします。(



オススメな本 内容抜粋

はじめに

歴史がどうつくられるか、たぶんそれはいかに記録されるかで左右される。
実際に起きた出来事と主役たちの思惑、それが記録され伝えられるときにはかなりの落差があると僕は思っているし、読者もまた同じだろう。
正確な記録がフィードバックされるとき歴史はつぎのステップヘ這い上がるのだ。
遠い時間の世界では事実の断片をかき集めたとしても大きくあいた隙間を想像力で埋め合わせるほかはないが、いま現在形でつくられつつある歴史について、現在をあえて歴史と僕は言うのだが、ではいったいどこまで迫ることができるのか。
本書には、新聞には書かれていない真実が描かれている。
読者がもしここに盛られている数々の出来事に新鮮な驚きを感じるとしたら、権力の内側に隠されていて明らかにされないことがどれほど多いかと知ったからだ。
これまで謎とされていたことに解答が与えられたからだ。
権力の実相はつねに秘密のヴェールにつつまれている。
国民が知りたいのは、政策の意思決定プロセスが公正、公平に行われているか、である。政治家や官僚機構が閉ざされた回路のなかでひたすら完結をもくろむのは、不公正、不公平が罷り通るのが権力行使のつねで、だからこそ、それを外部に晒したくないからである。
権力は自らを語らない。
僕は本書でこう記した。
「道路はただの道路ではない。道路建設は巨大な資源の分配であり、どこに、いつ、どれだけのコストをかけてつくるのか、それを決めるのが政治であり、権力行使そのものだからだ。そして日本の意思決定は、官僚機構と族議員との間で、国民の与り知らぬ密室でなされてきたのである」
小泉内閣が成立したのは二〇〇一年四月であった。
いつどのようなプロセスで道路関係四公団の分割民営化が提言されたのか。
当事者となった”変な作家”は必然的に権力闘争の渦中に巻き込まれていく。そこからいかなるドラマが展開されたか。亀井静香、野中広務、江藤隆美、古賀誠などの実力者たち、鈴木宗男、栗原博久ら道路族議員はいかなる形相と手段で抵抗し圧力をかけ、扇千景国交相と石原伸晃行革相(現、国交相)がどう動き、”変人”小泉首相のリーダーシップの発揮のされかたはどのようなかたちであったのか。
二〇〇二年六月に道路関係四公団民営化推進委員会の設置法が国会を通過すると、道路族議員による”猪瀬外し”が開始された。
たったひとりの民間人をかくも必死になって拒絶した理由はなにか。
日本経団連名誉会長の今井敬委員長はなにを実行しようとしたのか。
あの最終答申を提出する直前で七人のサムライはどのような理由で斬り合いを演じなければならなかったのか。
道路官僚のドンにして日本道路公団総裁の更迭騒ぎの主役を張った藤井治芳という人物は、なぜあれほど傲慢な届直り方ができるのか。
もしいま眼前で、あたかもテレビカメラに映し出されるように、その内側で展開されるドラマを垣間見ることができるなら……。
納税者である国民、高速道路の利用者である国民は、つぶさに身を乗り出してその光景を眺めなければいけない。
本書は、道路関係四公団の分割民営化の攻防一〇〇〇日の歴史を正確無比に追跡した唯一の記録である。

猪瀬直樹

(本文P. 1,2より引用)

 

 

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