「アンケートにご協力ください」「絵に興味ありますか?」「手相の勉強してるんです」 街を歩いていると、いろいろな勧誘を受ける。悪質なキャッチセールスの噂は知っているから、無視して通りすぎるのが一番。 だけど「本当についていったら、どうなるのか?」という疑問は残る。 本書ではインチキ宗教から怪しい絵の即売会、無料エステ、コーヒー豆の先物取引まで、実際にキャッチセールスの現場に潜入。 本当は気になるけど見にいけない場所のこと、あなただけにお教えします。 [目次] ◆「手相を勉強しています」の正体! ◆「性格診断自己啓発セミナー」に潜入! ◆「怪しげな絵の即売会」に潜入! ◆恐怖の「キャッチ系英会話教室」 ◆「絶対当たる携帯電話」って何? ◆「嘘つき無料エステ」に潜入! ◆「頭の回転がよくなるテープ」って何? ◆「世にも奇妙なUFOの集い」に潜入! ◆「コーヒー豆の先物取引」で脅迫! ◆「胡散臭いボランティア団体」に潜入! ◆髪の悩みで「ヘアケア・アドバイス」 ◆「悪質芸能事務所」に所属! ◆「出会い系の手口」って? など、20の潜入先と予想外の展開が満載! [著者紹介] 1965年3月北海道旭川市生まれ。 宮城県立仙台第三高等学校卒業し、上京。 日本大学法学部に在籍する傍ら、テレビのエキストラを務める。 その後、コンピューター業、葬儀司会、某団体への奉仕活動、塾講師、行政書士補助などの様々な仕事を行い、現在は広告代理店に在籍しながらエキストラ業、ライターをこなす。 これまでに、1000本近くエキストラ出演をした経験から、「油つぼリンカーン」というペンネームで、「アッと驚くエキストラのウラオモテ」(成美堂出版)を出版。 平成13年〜14年夏まで、雑誌「ダカーポ」(マガジンハウス社)にて、「誘われフラフラ」の連載を担当し、2週間に一度は勧誘されるという経験を生かして、キャッチセールス評論家になる。 これまでに勧誘先に潜入した数は60以上。
街には勧誘があふれている。 「手相の勉強をしています」 「アンケートお願いしているのですけど、ちょっとお時間よろしいですか?」 「署名のご協力お願いします」 「絵には関心ありますか?」 ほとんどの人が一度ならず、二度、三度と街頭や駅前などで声をかけられた経験があることだ ろう。そして誰しもがこう思ったに違いない。 「あの人って、なに者なの?」 「あの集団の正体は?」 「誘いについていったら、最終的にどうなるの?」 連日、テレビや新聞でキャッチセールスによる被害報道がなされているため、好奇心はあるけど怖くてついていけない。 そんな人も多いはずである。 そこで私は彼らの正体を白日のもとにさらすべく、立ち上がることにした。 声をかけられたら、必ずついていく。 電話がかかってくれば、彼らのアポイントを快く了承する。 勧誘者との出会いを大切にする生活を心がけたのである。 その結果……、私は連れていかれた先で散々な目に遭わされることになった。 あるところでは100万円のローンを組むように長時間にわたり説得され、契約を断るといきなり脅迫された。 またあるところでは「私たちは宗教ではありませんから」と言いながら神様や因縁の話を延々とされた。 最後には私の人生が病気や事故に見舞われる不幸極まりないものだと断言され、危うく入会させられそうになった。 ちなみに、これまで契約させられそうになったトータル金額は、ゆうに1000万円を越えている。 もし断らずに彼らの言いなりに契約していたら、今頃は多額の借金を背負い、自己破産していた。 しかしキャッチセールスの現場に潜入することで、彼らの実態と手法を充分に理解し、いかにすれば撃退できるのかを知ったことは収穫であった。 彼らはマニュアルを用いて契約締結まで一気に持っていこうとする。 それゆえ勧誘の流れがいつも同じパターンで終始してしまう。 よく勧誘先で見られるもののーつに、話の途中で「ちょっと、ごめんなさい」と唐突に席を立ち、奥のスタッフルームに消えてしまうことがある。 しかも一度だけではなく、それを何度も繰り返すのだ。 それはなぜなのか? 答えは、勧誘経験豊富な者からその都度アドバイスを受けているからである。 そのために面白いことが起きる。彼らの発言が席を立つ前とあとでは、まったく食い違ってしまうのである。 たとえば、私がある女性勧誘員に宝石購入を勧められたときのこと。 数十万円もする高いネックレスを30分間も執拗に勧められた私は、その場から逃げるために力タログに載っていた安そうな宝石を指差した。 「これいいですね」 すると彼女はバッサリと私の発言を切り捨てた。 「これは全然あなたに合わないネックレスです。 似合うのは、こっちです」 あくまでも高いネックレスを買わせようとする。 しかし私がなかなか「うん」と言わないと、「ちょっと、ごめんなさいね」と立ち上がり、数分間奥の部屋に消えた。 そして出てくるなり、こう言った。 「やっばり、このネックレスはあなたにぴったりですよね」 なんだ、こいつは、と思ったが、「安い方の宝石を売っても構わない」という上司の許可がおりたのだろうなと考えたら合点がいった。 そこで私は彼女の言葉の矛盾点を指摘して、購入することなく無事に帰ることができたのである。 本書には万が一、勧誘場所に連れていかれたときに逃げ出すための方法も充分に盛り込んである。 特に「あとがき」はポイント別撃退マニュアルのように記してあるから、興味のある人は読んでいただきたい。 本書の内容は、雑誌『ダ力ーポ』(マガジンハウス社)にて平成13年から約1年半「誘われてフラフラ」というタイトルで連載していたものに、再取材などをしながら、大幅に加筆、修正を加えたものである。 雑誌では見開き2ぺージだったゆえ、語り切れない内容も多かったが、今回の加筆修正にあたり客観的な考察を加えたことで、連載をご愛読いただいた方にも再度楽しんでいただけるものになっていると思う。 いつ何時、やってくるか分からない悪質な勧誘者たち。 そこで行われている手練手管な手法や巧みな話術、裏事情などをあらかじめ知って、いざというときに役立てていただければ幸いである。
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