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 さらば外務省! 私は小泉首相と売国官僚を許さない
著者
天木直人/著
出版社
講談社
定価
本体価格 1500円+税
第一刷発行
2003/10
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ISBN 4-06-212109-3
 
外務省には封印されたままの犯罪がある!キャリア官僚が、自分の首と引き換えに、すべてを書いた驚愕の書!
 

本の要約

「拉致」「イラク」…小泉総理、あなたの外交政策は間違っている!外務省には、封印されたままの犯罪がある!キャリア官僚が、自分の首と引き替えに、すべてを書いた驚愕の書。

[目次]
第1章 無視された意見具申;第2章 私はけっして小泉純一郎を許さない;第3章 外務官僚と政治家たちの恥ずべき行状;第4章 封印された外務省の犯罪;第5章 恐るべき外務官僚の世界;第6章 こんな外務省はいらない;第7章 さらば外務省



オススメな本 内容抜粋

まえがき

二〇〇三年八月二九日金曜日。この日の閣議で、私は駐レバノソ特命全権大使の任を解かれ、同時に三四年五ヵ月の外務官僚人生を終えることとなった。
その辞令の交付が、週明けの九月一日午前一〇時五〇分から、外務省の事務次官室で行われた。私の最後の登庁日である。
次官室へ出向いてみると、控室にはすでに、数名が待機していた。
次官の都合ということで、一人ずつ次官室に呼び込まれ始めたのは、予定時間をだいぶ超えてからのことだった。
一枚の辞令を手にして次々と同僚が去っていく。
私は最後に呼ばれた。
その理由は次官室に入ってすぐに分かった。
竹内行夫事務次官は笑顔を浮かべて私に辞令を手渡し、少し話がしたいと言って、私に椅子をすすめた。
「あれだけの電報を書くくらいだから、辞職は納得のことだと思う」
「辞職するつもりで書いたわけではありません。しかし、辞めろというのなら潔く辞める覚悟はありました。あれは小泉(純一郎)首相に対する私の建白書です。供覧していただいたのでしょうね」
「そんなこと僕は知らないよ」
「少なくとも、川口(順子)大臣にはお読みいただいたでしょうね」
「それも自分は承知していない」
私は竹内次官の無責任な態度に唖然とした。大げさな言い方かもしれないが、私がレバノンから東京に送った公電は、私の外交官人生を賭け、熟慮したうえに書きあげた小泉首相への意見具申書だった。
それがかくも軽々しく扱われているとは。もはや私の電報が、
小泉首相、川口外相に供覧されていたかどうかは問題ではない。
都合の悪い意見は無視し、情報操作を行う官僚の高慢な態度と、このような官僚の越権を放置し、その上に乗っかって国家の運命を軽々に左右していく小泉首相の無責任さと危険性こそ、糾弾されるべきなのである。
「君も認識していると思うが、君の言動は外務省という組織の枠を踏み外したものなのだよ。
そんな君がこのまま外務省にとどまっても、君自身、惨めな思いをするだけだ。
外務省を去るのは、むしろ君のためにもよいことだと思う。
それにしても、どうしてそういう言動をとったのか……」
「レバノンという国に勤務してみて、中東情勢が非人道的かつ不正義な状態に放置されていることを肌で感じました。それに対して外交があまりにも無力であり続けていることに我慢がならなかったのです」
「そんなことはない。みな一所懸命、平和の実現に向かって外交努力を続けているんだ。そんな地道な努力の積み重ねしか道はない。君のような態度で何ができるというのか。伝道師ではあるまいし」
「私は真の外交努力がなされていないと言っているのです。日本の政治家は、外交にもっとリーダーシップを発揮すべきであり、そのためにもわれわれが正しい情報と意見を政治家に伝えるべきと考えます」
「今の政治家なんかに期待するほうが間違っている。君もこれから日本で生活を始めて分かると思うが、今、日本は何をやるにしても、政治家、世論、マスコミをはじめ、あらゆるところから圧力がかかってくる。そんな中で君が言うような理想的な外交は簡単にできるものではない。それでもやろうというのならやればいいじゃないか。これからは好きなようにやれるのだから……。これ以上、君と議論を続ける時間はない……」
こう言って席を立とうとした竹内次官に向かって、最後に私は言った。
「せめて退職の辞令くらいは川口大臣から直接交付していただきたかった」
「大臣は今、外遊中だよ」
私は、大使の在任期間を、一度も大臣と顔をあわせることなく終えることになった。
外務省を後にして歩き始めた私は、改めて事務次官室での竹内次官の言葉の意味を思い返していた。
「君は組織の枠を踏み外してしまったんだよ」
組織の枠とはいったいなんなのか。そんなものが仮にあるとして、正しい政策を行うために、その枠が邪魔になることもあるだろう。
偏狭な枠であるのならば、枠そのものを正しい政策に沿って作り直せばいいではないか。
地下鉄の駅の階段を下りながら、私はそう考えていた。

(本文P. 2〜5より引用)

 

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