本書「あとがき」より バロウズが「おかま」という小説を書いたときに「あんな痛々しい、不快な、心を引き裂く思い出を、どうしてあそこまで注意深くまとめあげなければならなかったのだろう」(『おかま』W・S・バロウズ著 ペヨトル工房刊より)と思ったことに似て、この短編集は私にとって「どうして自分は今、自分のいちばん苦手でつらいことを書いているのだろう?」と思わせられながら書いたものです。つらく切ないラブストーリーばかりです。多分、出産をひかえて、過去のつらかったことを全部あわてて精算しようとしたのではないか?と思われる(人ごとのように分析すると)。だから、なにひとつ自分の身に起きたことなんか書いていないのに、なぜか、これまで書いたもののなかでいちばん私小説的な小説ばかりです。読み返すと、人生のいちばんつらかった時期のことがまざまざとよみがえってきます。だからこそ、大切な本になりました。
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