もうこの世にはいないはずの初恋の人に、突然出会ってしまったら、どうしますか・・・?韓国で大ブレイクし、ロケ場所が人気のデートスポットになったり、風になびくヘアスタイルや捻って結ぶマフラーの巻き方など、主人公のファッションが若者の間で大流行し社会現象となりました。その人気は、他のアジア地域まで広がっています。韓国KBSの純愛TVドラマの小説・日本語翻訳版がついに登場。
本書「訳者あとがき」より
このドラマの放送がスタートしたころ、私はちょうど韓国にいたのだが、放送日にはどんな友達と会っても、「『冬のソナタ』を見なきゃ」と言ってそそくさと家に帰ってしまう。久しぶりに会う私をほったらかしにしてまで見たいのか、と腹が立ったので、私も一度、友達の家に行って一緒にこのドラマを見てみることにした。『冬のソナタ』は完全に私の予想を裏切ってくれた。ひとことで言うと、とても面白かったのだ。回数を重ねるうちに、『秋の童話』の続編、二番煎じといったイメージを打破して視聴者を虜にした。私が何よりも気に入ったのは、ドラマを見た人なら共感できると思うが、あの美しい冬の情景と記憶喪失という古い題材をうまく描き切ったところだ。このドラマのお陰で、寒くて心まで凍えてしまいそうな冬が大嫌いだった私は、この季節が大好きになってしまった。視聴者の中にも、このドラマを見てから、冬が好きになったという人も多いのではないかと思う。また、記憶喪失というのも、昔からテレビドラマだけでなく映画でもよく使われていて、今や誰も見向きもしない筋書きである。しかも、その内容が恋愛ものとなると、どうしても通り一遍になりがちで、見る側も先が読めてしまってつまらないのである。しかし『冬のソナタ』は、そのワンパターンからくるマンネリを見事に打ち砕いてくれた。その日以来、「『冬のソナタ』を見なくっちゃ」は私の口癖にもなった。
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