浅野忠信さん、推薦！自分、人生、世の中、恋愛・・・世界の岡本太郎が心のままにつぶやいた人間の本質。どこから読み始めても、ひとつひとつの言葉に勇気づけられる、大切な一冊です。

太郎のつぷやき

岡本太郎が普段の生活の中で、動きまわりながら、ふっと洩らす言葉。

何気な＜聞き逃してしまえばそのまま消え失せて、二度と戻ってこない。

だがその片言が噛みしめてみるとユニークで、とても面白い。

宙に拡散してしまうには、あまりに勿体ない。

私はくっついて歩いて、一言も聞き漏らすまいと、しょっちゅうメモをとっていた。

あっちへ飛び、こっちへ飛びするのだが、彼の生き方の筋は─貫しているから、まとめて読み返してみると独特の哲学、人生論になっている。

この本はそういう彼の、ふっとつぷやく気配、息づかいがそのまま伝わるように構成した。

通して読まな＜ても、どこから読みはじめて頂いてもいい。

パッとひろげた、そのぺ─ジをその日のお告げだと思って、運命的な出会いを試してみるのもいいかもしれない。

花田清輝は、岡本太郎は金太郎飴みたいだ、どこを切っても岡本太郎だ、という名言を残したが、まったくその通り。

ここに見られるように、どんな短い寸言でも、まるごと岡本太郎であって、すっくと立っている。

力強く、鋭＜て、それでいてデリケ─トな太郎の言葉は、きっと今の、どっちを向いて歩きだしたらいいのか解らない、途方にくれた人々を力づけ、勇気を与えるに違いない。

元気な人は励まされてもっと元気に、愛のある人はもっと優しく、それぞれにこれらの言葉を噛みしめて、いのちを輝かしてほしい。

岡本敏子

（本文Ｐ.178、179より引用）