Good luck!!
著者
井上由美子/原作 吉野美雨/ノベライズ
出版社
マガジンハウス
定価
本体価格 1200円+税
第一刷発行
2003/03
ISBN 4-8387-1442-4
木村拓哉演じる副操縦士・新海元が様々な人間模様のなかで大きく成長していく様を描いた感動ドラマのノベライズ本。

大好評放映中のTBS系連続ドラマ「GOOD LUCK!!」が、一冊の本になります。木村拓哉演じる副操縦士・新海元が様々な人間模様のなかで大きく成長していく様を描いた感動ドラマで、夢とロマンがたくさん詰まったストーリー。もちろん、恋の行方も見逃せない魅力的な一冊です。
3月22日発売で、1200円(税別)。巻末には出演者のインタビューや写真をまとめたプロダクションノートも収録されています!

 

超人気のTBS系連続ドラマ「GOOD LUCK!!」が一冊の本に!
木村拓哉演じる副操縦士・新海元が様々な人間模様のなかで大きく成長していく様を描いた感動のドラマで、夢とロマンがたくさん詰まったストーリー。
もちろん、恋の行方も見逃せない魅力ある一冊です。巻末には出演者のインタビューや写真をまとめたプロダクションノートも収録。木村拓哉さん撮り下ろしのポラロイド写真も見逃せません!

目が覚めると、抜けるような青空が見えた。
ここはどこだっけ。
新海元はビーチデッキに寝そべりながら考えた。
ああ、ハワイだ。
焼けつくような日差し、広がる砂浜、ビキニの女の子たちの楽しげな笑い声。沖では色とりどりのサーフボードが波をつかまえている。
元はまぶしそうに空を見上げた。
轟音を響かせたがらジャソボ機が飛んでいく。
銀色に光る腹を見ながら、元は起き上がった。
そして、右手にはめた腕時計を見た。
「……やべえ」
元は焦って立ち上がると、読みかけの航空雑誌を口にくわえ、砂浜を走り出した。
身体じゅう、砂だらけだ。
椰子の木の揺れるカラカウア通りを短パソ姿の元は走りに走った。
ホテルの客室に戻ると、元はあわてて白いシャツを羽織った。
どうも、生活に慣れない。
目覚めるたびに違う状況に置かれているのだ。
新海元、29歳。全日空の副操縦士になってーヶ月目だった。
元はチェックアウトを終えると、フライトバッグを引いてホノルル空港に向かった。
手にはネイピーブルーのパイロットジャケット。
袖口と肩には金色の3本線が入っている。
パイロット帽は力ートの取っ手に無造作にくくりつけられていた。
「おい。スチュワーデス!何してるんだ!早くワイン持ってこい!」
全日空機1051便の機内。前方のビジネスクラスのキャビンの通路に、酔った様子の中年男性客が立ちはだかった。
「申し訳ありません。あの、マデラワインは、ただ今、ご用意がございません」
新米CAの深浦うららが緊張しつつやってきて言った。
「なにい。こっちは高い金出して、ビジネスに乗ってるんだぞ」
酔った客はからんで言うと、ポケットから煙草を出してくわえながらトイレに入った。
うららはトイレのドアをノックした。
うるせえな、と酔った客が顔を出す。
「失礼ですが、お煙草を吸われましたねP機内では禁煙とご存じの上でしょうか?」
「吸ってねえよ。証拠でもあるのかよ」
「私、見ました。お客様が煙草をくわえたところを見ました」
「なんだ、えらそうに。客を犯人扱いすんのかッ!ちくしょう。恥かかしやがって。機長を呼べ!お前らじゃ話にならん。パイロットを呼べ!」
男はトイレから出ると本格的にからみだした。
「機長はただいま操縦中でございます」
うららはおびえた顔で言った。
「機長がダメなら、副操縦士がいるだろう」
「申し訳ありませんが、パイロットはコックピットを出られません」
「だったら、俺がコックピットに行ってやるよ。おい。出てこい!パイロット!」
男は顔を真っ赤にしてわめいた。
「なぜ出てこねーんだよ。カッコつけやがって!高い給料もらいやがって」
その時、シャッと軽やかな音がして、後方の力ーテンが開いた。
「─遅くなりましたーっ!」
新海元が軽やかに言ってキャビンに入ってきた。
中年男は振り返ってウッと凍りついた。
CAたちも凍っている。
「すみません。ホノルル線初めてなんで。昨夜、ルートチェックしてたら眠れたくなって…」
元は言って、何やらいつもとは違う機内の様子を怪訴そうにながめた。
「おはようございます。ただ今、客室乗務の訓練中です」

(本文P.3〜5から引用)

 
 


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