アホでマヌケなアメリカ白人
著者
マイケル・ムーア/著 松田和也/訳
出版社
柏書房
定価
本体価格 1600円+税
第一刷発行
2002/10
ISBN 4-7601-2277-X
戦争大好きブッシュ大統領と その仲間たちの呆れた素顔。 バカタレどもの楽園へようこそ!

■目次
1 まさに、アメリカ的クーデター;2 拝啓ジョージ殿―「大統領」ジョージ・W.ブッシュへの公開書簡;3 ダウがダウンでアップアップ;4 白人どもを殺せ;5 バカタレどもの国;6 ちきゅうにやさしくキビシイ話;7 男たちへの挽歌;8 ウィ・アー・ナンバー・ワン!;9 巨大でシアワセな牢獄;10 脳死寸前民主党;11 人民の祈り

■要旨
ジョージ・ブッシュとその仲間たちの隠された素顔。我が祖国に向けた愛の鞭。
「俺たちの良心は、こんな馬鹿どもを許すことなんかできないのだアアアア!!」広がる貧富の差、たてまえの平等、虚構の「愛」にあふれたアメリカの真実をさらけ出したがために、9・11以後にもかかわらず全米ミリオンセラーとなってしまった、天才プロデューサーの手になる「お笑いブッシュinUSA」。

*ムーア新作映画配給会社との宣伝タイアップ決定!
2003正月第2弾恵比寿ガーデンシネマ他にて順次全国ロードショー
《ボウリング・フォー・コロンバイン》
監督・脚本・主演 マイケル・ムーア
コロンバイン高校銃乱射事件を通してアメリカ銃社会を一笑両断!
*配給:ギャガ・コミュニケーションズ

 

 

◇著者紹介
マイケル・ムーア(Michael Moore)
批評と笑いの精神に溢れるジャーナリスト兼映画監督その他。
1954年ミシガン州のGM(ゼネラル・モータース)城下町フリントに生まれる。10代から政治活動に目覚め、22歳の時ラディカルで洒落の効いたジャーナリズムを目指した地域紙『フリント・ボイス』を創刊、以後10年間編集長兼記者として活躍する。1989年地元GM工場の大量解雇を題材に撮った自主ドキュメンタリー映画《ロジャー&ミー》が批評家から高い評価を受け、それ以後、TVプロデューサー、映画監督、俳優、放送作家、シナリオ・ライター、進歩派ジャーナリストと八面六臂の活躍を続けるマルチ・タレントとなる。2002年発表の反銃社会ドキュメンタリー映画《ボウリング・フォー・コロンバイン》は、カンヌ映画祭で第55回記念特別賞を受賞。他のベストセラーにDownsize This! がある。トレードマークは野球帽。
目次 9・11テロについて使い捨てライターが教えてくれること―初版刊行後の補遺

プロローグ――何でこんなことになっちまったんだ?

1 まさに、アメリカ的クーデター
   クーデター参加者の面々
   反クーデターの手引き
2 拝啓 ジョージ殿――「大統領」ジョージ・W・ブッシュへの公開書簡
3 ダウがダウンでアップアップ
4 白人どもを殺せ
   アメリカ白人のサヴァイバル術
   黒人のためのサヴィヴァル術
5 バカたれどもの国
   逃走的学生であることをやめ、闘争的学生になる方法
6 ちきゅうにやさしくキビシイ話
7 男たちへの挽歌
   男性が絶滅をまぬがれる方法
   女性が男性なしに生き延びる方法
8 ウィ・アー・ナンバー・ワン!
   聖地パレスティナ
   グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国
   旧ユーゴスラヴィア
   北朝鮮
9 巨大でシアワセな牢獄
10 脳死寸前民主党
11 人民の祈り

エピローグ――奴が「大統領職」に就いていやがるのは俺の責任なんだ……


9・11テロについて使い捨てライターが教えてくれること

初版刊行後の補遺

2001年9月22日。
テロリストがニューヨークとアーリントンを攻撃してちょうど11日後に、俺は飛行機に乗ることになった。
本当は9月11日の予定で、LAX(ロスアンジェルス国際空港)からJFK(ケネディ空港)に向かう午後3時のアメリカン航空のチケットを買っていたんだ。
でも、誰もが知っているように、その飛行機は飛ばなかった。
その何時間か前に、カリフォルニア行きの4機の飛行機がハイジャックされたからだ。
その2機のアメリカン航空機と2機のユナイテッド航空機は、ニューヨーク市の世界貿易センタービル(WTC)と、ワシントンDC郊外のペンタゴンに対する同時多発カミカゼ・テロに使われた。
ロスアンジェルスで立ち往生することになった奥ちゃんと俺は、その朝、LA時間の午前6時15分に、フリントから電話をくれた奥ちゃんの母上に起こされた。
電話の向こうで叫んでいる。「ニューヨークが攻撃されてるのよ。ニューヨークが戦場になってるの」。
俺は思った、「いつものことじゃん」。だが母上は、今すぐTVをつけろと言う。俺はごそごそとリモコンを探し、ホテルの部屋のTVをつけた。まさに母上の言葉通りの光景が映っていた。ツインタワーが燃えて、黒煙が上がってい「うわー」と俺は思った。
「すごい火事だね一」。
だがその時、画面は15分前のビデオ映像に切り替わった。
2機目の飛行機が、サウスタワーに突っ込んでいる。
これは事故じゃない。
俺たちはニューヨークにいる娘に電話しようとした。
全く繋がらない。
WTCから数ブロックのところに勤めている友人のジョアン・ドロショーに電話してみた。
やっぱり繋がらない。
この時初めて、俺はパニックに襲われた。
そうこうするうちに、やっとジョアンのオフィスに繋がった。
相手の女性は半狂乱だった。
ジョアンはいますか、と俺は訊ねた。
「いないわ!」と彼女は叫んだ。
「ここにはいない!逃げなきゃ!神様!」。
彼女は電話を落とした。
すごい音がした。
電車の轟音みたいな。
奥ちゃんが言った、「TV見て」。
見た。
今電話で聞いた轟音の正体が、画面に映っていた。
サウスタワーが崩壊したんだ。
娘と連絡がとれたのは、それから4時間後。
ジョアンが電話をくれたのは、7時間後だった。
彼女は無傷で、アパートにいた(破片の雨が街に降り注ぐ直前に、建物に逃げ込んで事なきを得たんだ)。
その夜、俺は何度も何度も繰り返される映像をTVで見ていた。
そのうち、飛行機に乗っていて命を落とした人たちの名前が画面の下に流れ始めた。その中に、「ウィリアム・ウィームズ」という名があった。
知り合いと同じ名前だった。
それがやはり友人のビル・ウィームズだと判ったのは、翌朝のことだ。
ボストン出身のTVプロデューサーで、ついこの間も俺たちは一緒に、タバコ会社をターゲットにしたユーモラスなスポット広告を撮影したばかりだった。
ビルはボストン発LA行きの飛行機に乗っていた。
彼の乗った飛行機は、時速586マイルでサウスタワーに突っ込んだ。彼には奥さんと、7歳になる娘さんがいた。
何もかも、やりきれなかった。

(本文P6.7より引用)

 

 

 
 


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