情熱チャンジャリータ
著者
ゲッツ板谷/著  西原理恵子=絵
出版社
双葉社
定価
本体価格 1200円+税
第一刷発行
2003/01
ISBN 4-575-29510-8
ボキの答えです。 ゲッツワールドの超最高傑作!!

「直感サバンナ」「戦力外ポーク」に続く爆笑エッセイを双葉社から刊行。著者とそのまわりの奇人変人たちがひきおこす数々の激笑話。カバーも本文マンガもトーゼン西原理恵子です。

 

はじめに
その昔、こんなことがあった。
当時、オレは実家の離れに住んでいた。
で、ある日、その部屋の中で専門学校をサボってクラスメイトの真理子(仮名)と乳くり合ってると、不意にドアがノックされた。
(やべえっ、オフクロか口)
再び激しくノックされるドア。
(よかったあ〜〜〜〜〜〜。こんなこともあろうかと思ってドアにロックかけといたんだ、オレ)
再び激しくノックされるドア。
『ねえ、コーちゃん。いるんでしょ……』
ドアの向こうからの声。
それを耳にした途端、オレの全身に電流が走った。
声の主は、当時付き合っていた光枝(仮名)だった。
ちなみに、オレと光枝と真理子はクラスメイト。
……そう、死んでもドアを開けることはできなかった。
再び激しくノックされるドア。
『ねえ、いるんでしょ?声が聞こえたわよ……。ねえ、ドアを開けてよ!』
ガチャガチャガチャ……ガチャガチャ
乱暴に回されるドアノブ。
オレの全身からは冷や汗が吹き出し、真理子は体を硬直させながらドアの方を見つめていた。
『ねえ、誰といるのよ!?……大体察しはついてるのよっ。学校サボってナニやってんのよっ!? 男らしくドアを開けなさいよっ!! ねえ!!』
再び激しくノックされるドア。
「い……いや、け…今朝からズッとお腹が痛くて……」
光枝の剣幕に耐え切れず、返答してしまうオレ。
『じゃあ、アタシが病院に連れてってあげるわよっー!それとも、救急車を呼んであげようかっ!』
「いや、いいって……」
『なにがいいのよっ。アタシ、わざわざこんな立川くんだりまで電車に乗って来たのよっ!早くココを開けなさいよおおおっ!!』
「ナ……ナンセンスなんだよおおおおお〜〜〜〜〜〜っ!!」
『ざけんじゃないわよっUどっちがナンセンスなのよっ!いいきゃら、ココ開けなさいよっ!!」
(がんばれっ、オレ!一世一代の頭の回転を発揮しろおおおっ!!)
「はいっ、わかった!じゃあ、ホントのこと言うわ。……よ、吉村さんが来てんだよ、今」
『誰よっ、吉村さんって!?』
「ふ、風鈴みたいなモノを作ってる人だよっ」
『風鈴とココのドアが開けられないことと、どういう関係があるのよっ!?』
「ナメんじゃねえええっ、吉村さんを!!」
『はあ?』
「く、詳しいことは明日話すけど、普段は入れないミルクをコーヒーに混ぜてんだよっ、この人はあああっ!! それがどういうことだかわかってんのかっ、貴様は!? 金沢明子に至近距離から歌われても倒れちゃうんだよっ、今の吉村さんはっ!!」
『……やっぱりオンナがいるんだ』
「な……そ、そんなもんっ、女だっているだろうよっ。白血病だよっ、1番下の女の子はっ!! スウェーデンまで手弁当1つで行ってんだよっ、吉村さんはあああっ!!」
『ホントに救急車呼んじゃうからね……』
「じょ……上等だよっ、呼べるもんなら呼んでみろやっ!!…その代わり、京都の半分が停電になるってことだからなっ!!……秋田犬!? もちろん、それだって全滅するさっ!!」
それから15分後。オレはホントに救急車に乗るハメになり、翌日から真理子は学校に来なくなり、間髪を入れず光枝にもフラれた。
つまり、この本の中にはそういうカッコ悪い話がギュウギュウに詰まってます……。

(本文 はじめに より引用)

 

 
 


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