バナタイム
著者
よしもとばなな/著
出版社
マガジンハウス
定価
本体価格 1000円+税
第一刷発行
2002/12
ISBN 4-8387-1414-9
さわやかで、心にしみる極上のエッセイ集。


『GINZA』で連載されてた人気エッセイ、待望の単行本化! こだわりの海辺の暮らし、贅沢な時間、心に響く言葉、男と女の真実・・・etc.。独特の人生観と、さりげなくも力強いメッセージが満載。さわやかで、心にしみる極上のエッセイ集。

 

●マガジンハウス 担当編集者から
真実を見抜く目、自分を強く信じる力。この2つさえあれば、未来は明るい。けれど、それがなくても、人生はまだまだ面白く、心がけ次第ではもっともっと有意義なものに変わっていく……そんな思いをさせる、妙薬のようなエッセイ集である。読み進めるうちに、やがて凝り固まった心もほぐれてくる。
みなさんは、ご自分の“幸福”なときを真剣に考えたことがおわりだろうか。<幸福
……それが夕方のバーで飲む一杯であるという人もいるだろう。月に一度のフランス料理、セックス、ダンス、なんでもいい。自分のそれを知っているというのは、かけがえのないことだと思う>という著者の場合は、<海辺の暮らし>。小説を読まれている方なら、納得されるかもしれないが、こんなふうに次々に繰り広げられるエピソートには、よしもとばななの小説世界を支えるエッセンスが散りばめられていて、そのひとつひとつが温かなメッセージになっている。
実は、執筆の時期が結果的に失恋・結婚・妊娠という人生の激動期にあたったエッセイ集である。起伏のある人生を生き抜くためのヒント、かけがえのない人生を豊かにするための秘訣がいっぱいの一冊。同時に素晴らしい絵(原マスミ)がついているので、是非、お読みください。
*12月25日まで東京・北青山のギャラリーハウス・マヤ(03-3402-9849)で、原マスミ個展「人間の秘密」を開催されています。この本の原画も展示されていますので、ご覧ください。

 

あとがき

この本は「GINZA」という雑誌に連載されていたものです。

その雑誌を読んだとき、私の心には昔、まだ幼くてダサかったころ(と言っても今もあかぬ けているとは言いがたいが)に「anan」を読んで胸がどきどきした、あの感じがよみがえ ってきました。

そして、最近では面白くなくて大嫌いだと思っていた東京を、もう一度、あの七〇年代のよ うに新鮮な気持ちで好きになりそうな、なにか自由な風が吹いてくるような感じがしました。

凝りに凝ろうと、全くかまわなかろうと、とにかくファッショソは本人の生き方そのもので す。

何に惹かれ、何を嫌い、何を身につけるか、それが歳と共にどう変わっていくか、それは 人生の大きな部分を占めている問題です。

そういう基本的なこと……人からどう見られるかで はなく、自分がどうしたいか、どういうものが好きで、それをどう外に向けて表していくのか、 その大切さを感じさせる雑誌だと思いました。

そんな雑誌を好んで手に取っている人たちは、きっと海外にも行ったことがあるだろうし、 好き放題に服や靴や鞄や小物を買うことはできなくても、きっと経済的には自分である程度や りくりできる状況にあり、自分とか仕事とか人生に関して、全く無頓着ではないはずだ、と考 えたところからこの連載の発想はスタートしました。

だから自分でもかたりまじめに、ぴりっとした気持ちで取り組むことができました。

もしできることなら、産休が終わってから、またこういうエッセイをあのすばらしい雑誌で 連載したいです。

ものすごい失恋からはじまり、妊娠に終わったこの本ほどの大ネタに満ちあふれていなくて も、きっとその頃にはたくさんの小さな考えが私にストックされていることでしょう!もし 説教ばばあや、人生に疲れ果てた主婦になっていなければ……。

そうしたら、この本も続きを 出せる日が来るかもしれません。

そうなるとすてきだと思っています。

この本を読んでくださった全てのみなさまと、この本に登場したみなさま、そして、この本 を作るのに関わってくださった全てのみなさまに心からの感謝をささげます。

二〇〇二年十月 よしもとばなな

(本文 あとがきより引用)

 
 


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